水頭症
読み:すいとうしょう

 脳脊髄液(略して髄液)の循環が悪くなり、もって脳室内に髄液が鬱滞することで脳室が拡大する症状。胎児中枢神経系疾患の一つでもある。
目次

病因
 概ね、次のような原因が考えられている。
  1. 側脳室脈絡叢が異常で、髄液が過剰に産生・分泌されている。
  2. 腫瘍脳出血等で髄液の流れが妨げられ、循環が悪化している。
  3. 蜘蛛膜顆粒(パッキオニ顆粒)、静脈洞の閉塞等で、髄液の吸収が障害(障礙)されている。
 水頭症には、様々な原因による生まれつきの先天性水頭症と、脳出血等に伴う後天性水頭症がある。

病態
 脳室は脳内にあるが、ここが拡大すると脳が圧迫されるため、脳の機能に様々な障害を来す。
 特に先天性の場合、脳室と脳の容積を確保するため頭蓋骨が変形し、頭が異常に大きくなる。しかし頭は大きくとも、脳へのダメージも大きいため、一般には知能は低い。
 後天性水頭症の場合、障害される脳の範囲にもよるが、次のような症状が典型的に見られる。
 なお、老人の認知症のうち、数%はこの水頭症が占めていると考えられている。

治療法
 治療方法は一般に外科的な手法により、脳室内の髄液を脳外に排出するための管を通す、シャント術が一般的である。
 シャント術とは、シャントシステム(短絡管)により脳室内の髄液を他所へ流す方法であり、その流す先によって、
 などがある。

脳室-腹腔(V-P)シャント術
 このうち最も一般的なのが脳室-腹腔(V-P)シャント術である。
 流量を調整するシャントバルブを接続したカテーテルを脳室内に差し込み、設置する。カテーテルのもう一端側は、頭蓋骨に小さな孔を開けて下に通し、皮下内の適切な箇所を通して、腹膜腔内に接続する。
 脳室から腹腔内に流れ込んだ髄液は、腹膜から吸収される。

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