末端衝撃波面
読み:まったん-しょうげきはめん
外語:termination shock

 太陽風が恒星間風(恒星間ガス、星間物質)と衝突し、急速に減速される地点のこと。ヘリオスフィアの終端部。
目次

概要
 太陽風すなわち太陽から超音速で放出された太陽プラズマは、太陽系の外へと広がっていく。やがて宇宙空間を満たす星間物質や恒星間風が太陽風を押し戻そうとする力と、星間物質を押し返そうとする太陽風の力が衝突する場所が発生する。
 これが末端衝撃波面であり、ここで太陽風は大幅に減速をする。
 ここを超えた太陽風はその後も勢いを弱め続けるが、この付近から先(太陽系の外方向)をヘリオシースといい、遂に太陽風の力が尽き恒星間風(星間物質)の力が勝り始める境界をヘリオポーズという。

特徴

役割
 末端衝撃波面より内側には星間物質が届かない。
 実質的に、宇宙空間の中にある太陽系を守るように機能している。太陽風それ自体は生物にとって危険なものだが、更に危険な恒星間風を防ぐ働きがある。
 かくして、太陽風の勢力が及ぶ範囲つまり星間物質の力に抗える範囲をヘリオスフィアと呼ぶ。

探査機
 末端衝撃波面に達した探査機は、現時点では2機のボイジャーだけである。
 ボイジャー1号赤道から34度北の方向に航行している。ボイジャー1号の観測によると、2004(平成16)年12月に太陽から約140億km(約95天文単位)のところで末端衝撃波面を通り過ぎた。
 ボイジャー2号は赤道から26度南の方向に航行している。ボイジャー1号が末端衝撃波面に達した頃には約105億kmの位置にあったが、2007(平成19)年8月31日から翌日に掛けて数回に渡って末端衝撃波面を通過したことが確認された。距離については報告がないが、ボイジャー1号より近い位置で通過したようである。

形状

形状
 太陽系銀河系の回転運動に伴い、220km/s(190.1km/cBeat)程度のスピードで公転をしている。
 太陽から放たれた太陽風は太陽を中心に周囲に広がるが、この公転運動によって巨大な彗星のような形になると考えられている。
 ボイジャーの観測によると、末端衝撃波面は天の北極方向にやや広がっているらしい。

大きさ
 ヘリオスフィアの大きさ、つまり太陽から末端衝撃波面までの距離も一定ではなく、太陽から吹き出す太陽風の力、つまり太陽活動の強弱に依存する。
 太陽活動は概ね11年ごとに強弱があるため、これに伴ってヘリオスフィアの大きさは、おおむね100au〜150au程度の範囲で変化するとされている。

境界線
 ボイジャー2号は、複数の末端衝撃波面を通過した。
 このことから、末端衝撃波面は太陽系をボールにように包む皮のような安定した存在ではなく、境界線は静止せずに内に入ったり外に向かったりと振動していることが明らかとなっている。

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