事象の地平面
読み:じしょうのちへいめん
外語:event horizon
宇宙
での最速の単位である「
光速
」によって到達可能な範囲の指標であり、境界線である。事象の地平線とも。
目次
概要
特徴
ブラックホール
宇宙
宇宙の地平面
宇宙の膨張
粒子的地平面
概要
天体
から放たれる
光
、あるいは情報伝達で使われる
電磁波
などは、真空中など障害物がなければ光速で空間内を伝播する。
この時に到達可能な距離は、光速に時間を掛けた半径を持つ同心円状の球体で描くことが可能で、この球体の半径を事象の地平面という。
光速を持ってしても到達できない事象の地平面の外側は、情報を得ることができないため、いかなる方法を持ってしても知ることができない。
特徴
ブラックホール
ブラックホール
においては、その強い重力の影響で、それ以上内側になると光すらも脱出できなくなるとされる境界が生じる。
その大きさを
シュバルツシルト半径
といい、この半径を事象の地平面という。これがブラックホールとそれ以外の境界といえる。
なお、一般の天体、例えば地球の場合は約9mm、太陽でも約3kmと、天体自体の大きさより遥かに小さい半径であるため、その存在自体を無視できる。
宇宙
宇宙の地平面
宇宙における事象の地平面(宇宙の地平面、宇宙の地平線)とは、光速で観測可能な範囲であり、事実上の宇宙の果てである。
簡単には、地球を中心として、光速×宇宙の年齢が宇宙の地平面である。この外側にもなお宇宙が存在するが、光速より速いものが無い以上は、それ以上遠くからの光が地球に届くことはなく、つまりその情報を得ることができない。
宇宙の膨張
天体から放たれた光は、ほぼ真空の宇宙においては光速で宇宙空間内を伝播し、やがてその一部は地球へと達する。但し、宇宙そのものは「膨張」しているため、その伝播距離と時間は単純計算できない。
遠方の天体は、光速あるいはそれ以上の速度で遠ざかりながら光を放っている。
赤方偏移
z=1.7程度が、現在地球で観測される光を放った当時に概ね光速で遠ざかっていた天体で、これよりも赤方偏移の大きな天体は、超光速(光よりも速い速度)で地球から遠ざかりながら地球に向けて光を放ったことになる。
粒子的地平面
こうして、超光速で遠ざかりながら放たれた光で、原理的に観測可能な「最遠」は、宇宙の年齢×光速ということになる。宇宙の年齢は、約137億年である。
仮に宇宙の地平面から放たれた光が今現在地球で観測されたとすると、その天体の距離が原理的に観測可能な最遠であると言えるが、この距離を「粒子的地平面」といい、地球からの距離は約470億光年である。
つまり、宇宙の膨張を込みで考えると、いま観測可能な最遠は、いま現在約約470億光年の距離にある天体であり、これはこの天体が約137億年前に放った光である。
「粒子的地平面」は現在、光速の約3.5倍の速度で地球より遠ざかっており、つまり光速の約3.5倍速で宇宙は膨張している。
再検索