マクロライド系抗生物質
読み:マクロライドけい-こうせいぶっしつ

 抗生物質の一系統で、マクロライド環を持つもの。
目次

概要
 マクロライド系抗生物質(以下、マクロライド)は、細菌のリボソームに作用し、蛋白質合成を阻害する働きを持つ。
 細菌は生物である。細菌は自らが細胞内に持つリボソームを用い、自らが使う蛋白質を合成する。
 このリボソームに結合して機能を妨害すれば、細菌は蛋白質合成が出来なくなり、増殖不能となる。そして細菌は、いずれ死んだり、宿主(人間など)の免疫細胞に貪食されて始末される。
 なお、人間のリボソームと細菌のリボソームは構造が違うため、人間の細胞には作用を示さない。つまり選択毒性が高く、細菌にのみ有効である。

特徴

分子構造の特徴
 マクロライドは、マクロライド環と呼ばれる巨大な環構造を持つことを特徴とする。
 主に、14員環、15員環、16員環の三種類の構造があり、例えば「15員環マクロライド系抗生物質」のように呼ばれる。

主な系統

効果
 主としてブドウ球菌や連鎖球菌、肺炎球菌などのグラム陽性菌に作用するが、百日咳菌など、一部のグラム陰性菌にも作用する。
 また細菌以外にもマイコプラズマやクラミジアにも有効。
 抗菌スペクトルが広く、使いやすいことからよく処方されている。但し、マクロ系は他の薬の代謝を阻害し、副作用を強める性質がある。併用できない薬が多いので注意が必要である。

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