はやぶさ2
読み:はやぶさ-つー
外語:Hayabusa2
日本の小惑星探査機の計画の一つ。
はやぶさ
(MUSES-C)の後継として計画された。
目次
情報
基本情報
その他仕様
沿革
リュウグウまで
小惑星近傍運用フェーズ
地球帰還フェーズ
今後の予定
探査
探査目標
イオンエンジン
意義・目的
第二の探査目標
プロジェクト
目的
予算不足、そして
ミッション機器
公募
7つの世界初を達成
情報
基本情報
所有国:
日本国
打ち上げ: 2014(平成26)年12月3日
ロケット:
H-IIAロケット26号機
発射台:
種子島宇宙センター大型ロケット発射場
質量
: 600kg
搭乗員: なし(無人)
国際標識番号: 2014-076A
その他仕様
仕様は僅かしか公開されていないが、初代はやぶさとは異なる仕様である。
CPU
データ処理系 DHU-PIMバス方式(COSMO16)
誘導航法制御系 2重冗長化プロセッサー(
HR5000S
)
OS:
μITRON
沿革
リュウグウまで
2010(平成22)年1月7日: 宇宙航空研究開発機構 準備チーム長 吉川真准教授が計画発表
2012(平成24)年12月26日: はやぶさ2 機体公開
2013(平成25)年4月10日: メッセージキャンペーン開始 (7月16日まで)
2014(平成26)年12月3日: 打ち上げ
2015(平成27)年10月5日: 小惑星の名称が「Ryugu」に決定
2018(平成30)年6月27日: 小惑星「
リュウグウ
」の上空20kmの位置に到着
小惑星近傍運用フェーズ
2018(平成30)年9月21日: 探査ローバー「ミネルバ-II1」2台(Rover-1AイブーとRover-1Bアウル)を地表に向けて投下し、着地成功
2018(平成30)年10月3日: 小型ランダ「MASCOT」を投下、バウンドし、その後再着地
2018(平成30)年11月5日: 「ターゲットマーカーB」を投下し、着地成功
2019(平成31)年2月22日: リュウグウへの1回目の着陸
2019(平成31)年4月5日: 衝突装置(SCI)と分離カメラ(DCAM3)を分離し、安全距離に離れる
2019(平成31)年4月25日: 衝突地点に人工クレーターができていることを確認
2019(令和元)年5月16日: クレーター観測のため降下を試みるが、異常を検知したため自動的に上昇
2019(令和元)年5月30日: クレーター観測のため再度降下を試み、高度10mまで降下して「ターゲットマーカーA」を投下し、成功
2019(令和元)年7月11日: リュウグウへの2回目の着陸、クレーターから飛び散った周辺の土壌のサンプル採取を実施
2019(令和元)年8月26日: サンプル採集容器を再突入カプセルに収納
2019(令和元)年9月12日: ターゲットマーカー分離のため降下を開始
2019(令和元)年9月17日: 「ターゲットマーカーE」「ターゲットマーカーC」をそれぞれ高度1kmで赤道軌道、極軌道に分離
2019(令和元)年10月3日: 探査ローバー「ミネルバ-II2」を赤道周回軌道に分離。当初予定より角度がずれたことで、予定より少なく1周余りで着陸
地球帰還フェーズ
2019(令和元)年10月3日: リュウグウからの離脱を開始、地球帰還フェーズへ
2019(令和元)年11月20日: イオンエンジンの試運転
2019(令和元)年12月3日: イオンエンジンでの巡航運転開始
2019(令和元)年12月14日: 使用するイオンエンジンのスラスタを3基から2基に削減
2020(令和2)年2月5日: イオンエンジンを一旦停止、地球帰還のための精密な軌道計算を開始
2020(令和2)年2月18日: 軌道が決定し、トリム運転(微調整)を実施
2020(令和2)年2月20日: 第一期イオンエンジン運転終了
2020(令和2)年5月13日: 第二期イオンエンジン運転開始
今後の予定
2020(令和2)年9月頃まで: 第二期イオンエンジン運転
2020(令和2)年10月〜帰還まで: 精密誘導フェイズ
2020(令和2)年12月6日: 地球に帰還予定。帰還カプセルは初代はやぶさと同じオーストラリアのウーメラ砂漠に着陸予定
2029(令和11)年〜2031(令和13)年頃: 2001AV43または1998KY26の観測、可能なら着陸を試みる
探査
探査目標
C型小惑星「
リュウグウ
(Ryugu)」(162173) 1999 JU
3
の探査とサンプルリターン。
イオンエンジン
初代はやぶさ用エンジン
μ10
の改良型で、初代はやぶさで8.5mNだった推力を10mNに向上させたものが採用された。
1基10mNなので、全4基の推力を足しても40mNであり、これで1円玉4枚を持ち上げる程度の力しかない。イオンエンジンでロケットの打ち上げはできないが、しかし宇宙空間の真空状態では充分な推力が得られ、なおかつ僅かな推進剤で長時間稼働させられるメリットがあり、人工衛星や惑星探査機などのエンジンに向いている。
意義・目的
惑星探査技術の向上
生命の起源や進化に迫る
地球に衝突しそうな天体問題に対する基礎研究
小天体が資源として利用可能かどうかの基礎研究
第二の探査目標
はやぶさ2は「リュウグウ」でのサンプル採取に成功し、地球に帰還することで当初の計画は終了する。しかしまだ燃料に残りがあり飛行が可能なため、片道で別の小惑星探査に向かうことになった。
候補とそのスケジュールは次の2天体である。2020(令和2)年9月頃に、どちらを目指すかを決定する。
2001 AV43 ‐ 金星でスイングバイし、2029(令和11)年11月に到着
1998 KY26 ‐ 地球でスイングバイし、2031(令和13)年7月に到着、ただし途中で別の小惑星に接近できる
いずれも直径30m〜40m程度で、高速で自転しながら地球より外側の軌道で太陽を公転している。この規模の小惑星は100〜1000年に1回の頻度で地球に衝突しているが、至近で観測できれば様々な研究に役立つとしている。
試料採取カプセルは地球に投下した後のプロジェクトとなるため試料採取は行なわず、観測のみ実施する。またイオンエンジンの推進力が尽きるため、地球には帰還しない。
プロジェクト
目的
機体本体は、1号機で故障した姿勢制御装置などに改良を施し、耐久性を向上させ、冗長性をより充実させるが、全体としてはほぼ同じ設計を採用する。
探査目標は小惑星「Ryugu」(1999 JU3)(直径約1km)で、1号機の
イトカワ
と同様地球と火星の間にあるが、
有機物
が多いと見込まれている。
この小惑星に爆薬を詰めた衝突体を打ち込んで小さなクレーターを作り、内部試料を採取する計画である。衝突体は直径約20cm、重さ10kg程度の円筒形で、小惑星の上空数百メートルからゆっくりと投下、本体回避後に爆発させ、蓋が変形した金属塊を2km/s(1.7km/cBeat)から3km/s(2.6km/cBeat)の超高速で地表に衝突させ、直径2mから7mのクレーターを作る計画。
予算不足、そして
JAXAは常に予算不足で貧困にあえいでいる。はやぶさ2は国民から待望されたが、予算が確保できなかった。一時は、高価な国産ロケットは断念し他国に無償で打ち上げて貰うことも想定されたが、そのような国はそうそうなく、プロジェクトは実現困難とみられていた。
欧州との共同開発し、欧州に打ち上げて貰う計画もあったが、これも実現しなかった。
そんな中であろうことか民主党政権となり、JAXAは事業仕分けの対象となり予算削減の被害を受け、はやぶさ2の実現は更に困難なものとなった。
しかし、2010(平成22)年6月13日、
はやぶさ
が地球に帰還したことで世論は沸騰、ある程度の予算が付いたことで研究フェーズ移行、さらに資金不足については異例の「寄附」の受付が開始された。この寄付金の一部で、はやぶさ2の岩石採取確認用カメラが追加されている。
ミッション機器
サンプラ Sampler(SMP)
衝突装置 Small Carry-on Impactor(SCI)
リモートセンシング観測用
近赤外線分光計 Near Infrared Spectrometer(NIRS3) (「はやぶさ」と比して、水を検知するために波長帯を変更)
中間赤外カメラ Thermal Infrared Imager(TIR) (金星探査機「
あかつき
」と同等品)
分離カメラ Deployable Camera(DCAM3)
小型ローバ (「はやぶさ」のときのミネルバに対応)
MINERVA-II1(Rover1A/1B)
MINERVA-II2(Rover2)
小型ランダ Lander(MASCOT) (小型の着信機で、ドイツ、フランスが中心となって製作)
再突入カプセル Reentry Capsule(CPSL) (地球帰還の際に使う)
公募
「星の王子さまに会いにいきませんか ミリオンキャンペーン2」として、「ターゲットマーカー」に掲載する名前、および「再突入カプセル」に掲載する名前とメッセージが公募された。
応募開始は2013(平成25)年4月10日12:00(@166)〜7月16日だった。
一人一回、名前は全角10文字または半角20文字、メッセージは全角30文字または半角60文字であった。
7つの世界初を達成
2019(令和元)年12月19日の小惑星探査機「はやぶさ2」記者説明会
において、はやぶさ2が達成した七つの世界初の偉業が発表された。
小型探査ロボットによる小天体表面の移動探査
複数の探査ロボットの小天体上への投下・展開
天体着陸精度60cmの実現
人工クレーターの作成とその過程・前後の詳細観測
同一天体2地点への着陸
地球圏外の天体の地下物質へのアクセス
最小・複数の小天体周回人工衛星の実現
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