きらり
読み:きらり
外語:Kirari
光衛星間通信実験衛星(OICETS)「きらり」。
欧州宇宙機関(ESA)の通信技術試験衛星ARTEMIS(アルテミス)と
レーザー
を利用した衛星間光通信をする実験衛星である。
目次
人工衛星の情報
基本情報
形状寸法
沿革
特徴
目的
技術
実験の結果
打ち上げまで
当初予定
ロケット決定まで
打ち上げ
人工衛星の情報
基本情報
所有国:
日本国
打ち上げ: 2005(平成17)年8月24日
ロケット: ドニエプルロケット
発射台: カザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地
打ち上げ時質量: 約570kg
搭乗員: なし(無人)
設計寿命: 1年
国際標識番号: 2005-031A
衛星計画名: OICETS(オイセッツ)
軌道: 円軌道(高度610km〜550km、軌道傾斜角 約97.8°)
形状寸法
直方体の箱形の本体の側面に
太陽電池
パドル(PDL)が2枚付き、本体先端に光衛星間通信機器光学部(LUCE)が取り付けられている。
衛星本体
0.78m×1.1m×1.5m(高さ)
光アンテナを含む全高
2.93m
太陽電池パドルを含む全長
9.36m
沿革
2005(平成17)年8月24日06:10(
23日
@923): 打ち上げ
2005(平成17)年12月9日: ARTEMISと、双方向光衛星間通信実験に成功
2005(平成17)年12月16日: 定常段階に移行
2006(平成18)年10月16日: 定常段階終了、後期利用段階への移行
2009(平成21)年9月24日14:48(@283): 停波作業実施、運用終了
特徴
目的
「きらり」は低高度
地球周回軌道
を周回する衛星である。通信相手のARTEMISは
静止衛星
である。相互の通信を実験することを目的とする。
従来、衛星間通信は
電波
が主だったが、通信にレーザーを使う目的は電波と違い
干渉
を起こさない安定した通信が可能で、また伝送速度も高速という利点があるからである。
また、光は直線に進むため秘匿性が高いこと、電波を使う時よりも衛星搭載機器が小型軽量化可能なことから、実用化が期待されている技術である。
技術
ARTEMISと「きらり」は互いに移動するため距離や位置は変動し、距離は最大で45,000kmになる。
この間でのレーザー光通信を実現するには、高出力のレーザー素子と、高利得の光アンテナを用い、高感度信号検出器で受信信号を解読する必要がある。
そしてレーザーは電波と違って真っ直ぐ直線に飛ぶので、正確に相手のアンテナを狙わねばならない。受ける側も多少の誤差を補足し、かつ追尾できるような技術が必要となる。
こういった技術開発がARTEMISおよび「きらり」の目的である。
実験の結果
当初予定の運用期間(約1年間)を大幅に上回る4年間以上の運用に成功した。
この間に世界で始めて双方向の光衛星間通信と、低軌道周回衛星と光地上局を結ぶ通信の実験に成功した。
2005(平成17)年12月から2006(平成18)年8月までの定常段階において、合計100回の光衛星間通信実験に成功(105回試行)し、光通信に必要な補足、追尾、指向技術などの実証を達成した。
また光地上局(東京都内のNICT、ドイツのDLR)との実験を実施、26回中16回成功し、うち晴天時の成功率は100%だった。通信品質も良好で、衛星・地上間の光通信も現実性があることを実証した。
打ち上げまで
当初予定
当初は、
J-Iロケット
2号機(J-I・F2)で2001(平成13)年度に打ち上げ予定だった。
ARTEMISは
H-IIAロケット
で打ち上げ予定で、共に日本から打ち上げて交信実験に望む予定だったが、双方のロケットで打ち上げ計画が狂ってしまった。
結局ARTEMISはH-IIAロケットでの打ち上げを断念し、2001(平成13)年7月12日にアリアンV・10号機(V142)で辛うじて打ち上げに成功した。
ロケット決定まで
「きらり」打ち上げのために、J-IロケットやH-IIAロケット、
Μ-Vロケット
、
GXロケット
が検討された。
J-IロケットやH-IIAロケットは、予算不足と製造スケジュールが間に合わないことから外された。
GXロケットはまだ開発中、そしてΜ-Vロケットでは打ち上げ条件等から不適のため利用できず、仕方がなく海外のロケットを探し、ロシアのロケットを使うことになった。
打ち上げ
OICETSは2005(平成17)年8月24日06:10(
23日
@923)にロシアの民間会社ISCコスモトラス社がカザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地よりドニエプルロケットで打ち上げた。
このロケットでは、同じく国産の衛星INDEX(
れいめい
)もピギーバック衛星として打ち上げられている。
OICETSは打ち上げ15分10秒後にロケットの三段目から分離され、ほぼ予定通りの軌道に投入された。打ち上げ成功後、OICETSには「きらり」と命名された。
本体開発費は約127億円と報じられている。
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