74シリーズ
読み:ななよんシリーズ
外語:74 series

 標準ロジックICシリーズの一つ。
目次

概要
 元々はTTLロジックICのファミリーで、Texas Instruments社のSN7400に始まる製品群に端を発し、事実上、全てのTTLセカンド・ソースがこの体系に従い供給されるようになった。
 後にはCMOSにまで体系を広げ、ロジックICの規格を制覇するに至った。

シリーズ
 CMOSの4000/4500シリーズとは全く互換性を考慮されていない別体系であるが、一部例外的に相互乗り入れ的な型番も見られる。
 例えば、74HC4049は4000シリーズの4049を模したもの、逆に40193は74シリーズの74193と同じ論理・ピン配置である等。
 また、74□△という型番に対応して54□△という命名のもの(54シリーズ)は動作温度範囲、電源電圧範囲の広い、俗にMILスペック(Militaryスペック)と呼ばれる品種である。

定番
 74シリーズの定番としては、次のようなものが使われる。

基本ゲート
NANDゲート
 7400(4回路2入力)
 7410(3回路3入力)
 7420(2回路4入力)
NORゲート
 7402(4回路2入力)
 7425(2回路4入力)
 7427(3回路3入力)
NOTゲート
 7404(6回路)
ANDゲート
 7408(4回路2入力)
 7411(3回路3入力)
 7421(2回路4入力)
ORゲート
 7432(4回路2入力)
XORゲート
 7486(4回路2入力)

その他
DFF
 7474(2回路DFF)
 74273(8回路DFF)
バッファー
 74125(4回路3ステートバッファー)
信号線ドライバー
 74541(8回路3ステート非反転バッファー)
アドレスデコーダー
 74138(3-8デコーダー)
 74139(2回路2-4デコーダー)
シフトレジスター
 74595(8ビットシフトレジスター)
シュミットトリガー
 7414(6回路シュミットトリガー インバーター)
ALU
 74181(4ビットALU)

代表的なファミリー
 以下で5V動作の代表的なファミリーを説明する。
 この他にも低電圧用や入出力の規格を少し変えたものなど、派生ファミリーは極めて多い。
無印(standard)
最初に作られた製品群。後に主流になったLSやHCに比べ、動作は決して遅くはないが、消費電力が大きく、今や新規設計で指定されることはない。
しかし過去に極めて大量に使用されたため、保守などを通じて今でもよく見かける。
H(high speed)
無印版の内部回路の定数に手を入れ、高電力消費と引き換えに(少しだけ)高速化したもの。絶滅種。
L(low power)
Hとは逆に、(大幅な)低速化と引き換えに低電力化したもの。Hよりも使用例は更に少ない。当然ながら絶滅種。
S(schottky-diode-clamped)
ショットキー・ダイオードを用い、Hより一段と高速化したもの。消費電力はHと同等か、やや少な目。
特定の高速ICや、バスドライバーなどで今でも使われることがある。
F(fast)
Fairchild社がオリジナルの高速版だが、後にはTI社も供給するようになった。
後発なだけに、平均的にSよりも高性能。また、出力の電流ドライブ能力が高い品種が多い。
LS(Low power Schottky)
無印版並の速度とL並の消費電力を達成し、TTLの新標準となったもの。
TTL扱いするのが普通だが、内部の回路は実はDTLに近い。
ALS(Advanced Low-power Schottky)
LSの改良版。CMOSが高性能化してTTLに競合してきたことと、割高感があることからLSほどには使われていない。
AS(Advanced Schottky)
Sの改良版。SやFと同様の分野で使用されている。
C(CMOS)
まだCMOSといえばRCAの創設した4000シリーズしかなかったような時代に、National Semiconductor社が74シリーズをCMOS化したもの。絶滅種。
HC(high speed CMOS)
Cに代わる高速なCMOS。これの普及によりCMOSも一気に74シリーズ化が進み、4000シリーズが劣勢に立つこととなる。
但し動作電圧範囲は4000シリーズのようには広くない。
AC(advanced CMOS)
HCよりも更に高速なCMOS。LSやALSTTLシリーズと競合する高速性能と電流ドライブ能力を持つ。
しかも静止状態では殆ど電力を消費しない特徴は紛れもなくCMOSである。

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