暗黒銀河
読み:あんこくぎんが
外語:dark galaxy

 恒星を殆どまたは全く含まないため暗いが、暗黒物質(ダークマター)により質量が支えられているとする、銀河程度の大きさを有する仮想上の天体
目次

概要
 恒星が(殆ど)ないため、光で観測した場合は非常に小さくまたは淡くしか見ることができないが、その大きさは銀河系並に広がっているものをいう。
 銀河が形成された後、何らかの理由によって星形成のための物質(ガスなど)が失われ、恒星が作られなかった天体であると考えられている。
 いくつかの候補が報告されているが、今のところその存在は確定していない。

特徴

暗黒星雲などとの違い
 星間分子雲の一種「暗黒星雲」とは異なる。
 また、銀河間物質が銀河の潮汐相互作用を受けて作られる銀河間のガス雲とも異なる。
 これらガス雲は暗黒物質を含んでいないため、これは銀河としては認められていない。ただ、銀河間のガス雲と銀河を区別することは難しい。ただ、これまで暗黒銀河の候補に挙げられてきた天体は、その殆どが銀河間のガス雲などであることが判明した。

仮説
 架空の存在として候補天体が幾つか存在したが、実際に存在が判明しだしたのは2014(平成26)年頃である。
 多数発見され分布も明らかになったのは2015(平成27)年6月で、ニューヨーク州立大学および国立天文台の研究者などの研究チームがすばる望遠鏡アーカイブのデータを解析した結果、854個もの「超暗黒銀河」を検出したとアメリカ天文学会の天体物理学誌Astrophysicsで発表されたものが初である。
 超暗黒銀河とされる暗黒銀河は、銀河団の中心部に多く、銀河団の外側に向かうにつれて減っていくことが判明したとされている。

候補

HE 0450-2958
 HE 0450-2958はクエーサーであるが、そのホスト銀河が見つからなかった。このため暗黒銀河に位置するという仮説が立てられた。
 その後、通常の銀河が存在するらしいという報告もいくつか出ている。

HVC 127-41-330
 HVC 127-41-330は、アンドロメダ銀河さんかく座銀河(M33)の間を高速で回転する雲である。
 この雲の質量の80%は暗黒物質とされている。
 銀河系などが存在する局部銀河群を形成したさいの残骸水素から作られた矮小銀河の可能性も示唆されている。

スミスの雲
 HVC 040-15+100あるいはスミスの雲(Smith Cloud)は、銀河系の周辺を高速で移動している水素ガスからなる雲である。
 質量は少なくとも太陽質量の100万倍はあり、長さは3000パーセク、幅は1000パーセクとされる。
 軌跡を逆にたどると約7000万年前に銀河系の円盤を通過したことが予想され、また2700万年後には銀河系に融合するとされている。

VIRGOHI21
 VIRGOHI21は、真の暗黒銀河の候補として最初に発見され報告されたものである。太陽質量の1億倍の質量があるとしている。
 M99(NGC 4254)のパートナーとなっている可能性が高いと考えられ観測された結果、M99が別の銀河(恐らくM98)と衝突した際に放出されたガス雲であるとする可能性が示されている。

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