利尿薬
読み:りにょうやく
外語:diuretics
利尿作用
のある薬剤のこと。「利尿剤」ともいう。
目次
概要
特徴
適応
副作用
主な物質
分類方法
チアジド系利尿薬・サイアザイド系利尿薬
チアジド系類似薬
ループ利尿薬
カリウム保持性利尿薬
浸透圧利尿薬
炭酸脱水素酵素阻害薬
その他
概要
人間
も含め高等動物では、体内では必要に応じて利尿ホルモンが作られる。これと同等の機能を有する薬剤を、利尿薬という。
尿
を
排泄
することによって
血液
量が減り、延いては血圧降下の作用もある。
臨床では合成のものが使われるが、ごく自然にも植物の成分に利尿作用のあるものもある。例えば、
茶
や
コーヒー
の成分である
カフェイン
に利尿作用があることはよく知られる。
特徴
適応
この種の薬剤が適用されるのは、もっぱら
心不全
などに伴う「浮腫」(むくみ)の治療である。細胞間質に過剰に
体液
が貯留したものを浮腫といい、
排尿
を促してこの浮腫を減らすことを目的とする。
また、中毒物質の速やかな排泄を目的とし、尿量を増加させるために利尿薬が用いられることもある。
副作用
副作用
としては、強制的な
排尿
に伴って起こる
電解質
のバランスの悪化がある。
主な物質
分類方法
尿は、非常に複雑な経路で作られているが、どこかの経路の機構を操作することにより、尿量を増やす。
循環器官用薬として、薬効分類では次のように分類されている。
2130 利尿剤
2132 チアジド系製剤
2133 抗アルドステロン製剤
2134 炭酸脱水酵素阻害剤
2135 クロルベンゼンスルホンアミド系製剤
2139 その他
以下は、代表的な物質名を50音順とする。商品名は括弧で併記する。
その他食品等に作用があるものは、
利尿作用
を参照。
チアジド系利尿薬・サイアザイド系利尿薬
遠位尿細管
において、
ナトリウム
(Na)や
塩素
(Cl)の再吸収を抑制することで利尿作用を示す。
高血圧症用の降圧薬としても使われている。
トリクロルメチアジド (フルイトラン)
ヒドロクロロチアジド (ダイクロトライド)
ベンチルヒドロクロロチアジド (ベハイド)
チアジド系類似薬
「非チアジド系」などと表示されているが、その作用が類似するもの。
非チアジド系
インダパミド (ナトリックス)
トリパミド (ノルモナール)
メチクラン (アレステン)
クロルベンゼンスルホンアミド系
クロルタリドン (ハイグロトン)
メフルシド (バイカロン)
ループ利尿薬
ヘンレ係蹄
において、ナトリウム(Na)や塩素(Cl)の再吸収を抑制することで、強力な利尿作用を示す。
現時点においては、「利尿剤」とするものの第一選択薬とされている。
アゾセミド (ダイアート)
トラセミド (ルプラック)
ピレタニド (アレリックス)
ブメタニド (ルネトロン)
フロセミド (ラシックス)
カリウム保持性利尿薬
遠位尿細管
において、
鉱質コルチコイド
の一つアルドステロンの拮抗薬として機能する。
結果、ナトリウムの再吸収を抑制し、一方でカリウムは再吸収させ尿中への排泄を抑制することで利尿作用を示す。
カンレノ酸カリウム (ソルダクトン)
スピロノラクトン (アルダクトンA)
トリアムテレン (ジウテレン)
エプレレノン (セララ錠)
浸透圧利尿薬
浸透圧利尿薬は、
糸球体
で濾過された後は再吸収されない。
尿細管中の浸透圧が高まるため、
水分
の再吸収が抑制されることで利尿作用を示す。
D-マンニトール
(マンニットール)
濃
グリセリン
(グリセオール)
グリセリンでは、かつて「アミラック」というものもあったが、製造が中止されている。
炭酸脱水素酵素阻害薬
近位尿細管
で、イオン(ナトリウムイオンNa
+
や重炭酸イオンHCO
3
−
)の再吸収を抑制することで利尿作用を示す。
緑内障、呼吸性アシドーシスなどの他、高山登山者が高山病予防に服用する例もある。
アセタゾラミド (ダイモックス)
その他
これらの薬剤は、利尿剤としてより、他の目的で承認されている。
イソソルビド (イソバイド、メニレット)
ジクロフェナミド (ダラナイド)
次のような「強心剤」も、腎血流量が増えるため、尿量増加が期待される。通常、これら薬剤では頻尿・多尿は「
副作用
」扱いとしている。
塩酸ドパミン (イノバン)
アミノフィリン (ネオフィリン)
また、次のような「
血管
拡張剤」も利尿作用があり、利尿剤との併用を禁忌として添付文書に記載がある。
カルペリチド (ハンプ)
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