ストロンチウム89
読み:ストロンチウム-はちじゅうきゅう
外語:89 Sr
ストロンチウムの同位体の一つ。ウランの核分裂生成物の一つである。
情報
- 記号: 89Sr
- 原子番号: 38
- 質量数: 89 (陽子38、中性子51)
- 天然存在比: なし
- 半減期: 50.53日
- 比放射能: 1.10×1015 (1100兆Bq/g)
- 比放射能の逆数: 9.09×10−16
- 崩壊の種類:崩壊後生成物
- 主な由来
概要
天然には存在しない同位体である。
核燃料として使われるウラン235などが核分裂した際に生じることがある。
特徴
崩壊
半減期は50.53日で、β崩壊する。
基本的にはβ−崩壊し、β線(電子=β粒子)と反電子ニュートリノ( ̄(ν)e)を放出して、イットリウムの安定核種であるイットリウム89(89Y)になる。
医療
ストロンチウムは、毒性がなく、骨に吸収されやすく、かつ半減期が比較的短いという特徴を生かし、放射性同位体である「ストロンチウム89」が骨腫瘍の治療に使われている。
ストロンチウム89の半減期は50.52日であり比較的短期に崩壊する。そこで、短期間のうちに強力な放射線を幹部に直接照射することができる利点がある。
静脈注射するためのストロンチウム89製剤があり、例えば日本化薬の「骨移転疼痛緩和剤メタストロン注」は、成人で1回2.0MBq/kg(200万ベクレル/kg体重)、最大141MBq(1億4100万ベクレル)までを用い、反復投与時は3ヶ月以上を開けること、と説明にある。製品1バイアル3.8mLで141MBqとなる。
骨に吸収されやすいとは言っても、放射線で身体に影響を及ぼすためには、静脈注射でも1億ベクレル程度は必要ということである。
生体への影響
科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)における、ストロンチウム89の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。
- 吸入摂取した場合 (チタン酸ストロンチウム以外の化合物) 1.4×10−6
- 吸入摂取した場合 (チタン酸ストロンチウム) 5.6×10−6
- 経口摂取した場合 (チタン酸ストロンチウム以外の化合物) 2.6×10−6
- 経口摂取した場合 (チタン酸ストロンチウム) 2.3×10−6
つまり、10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.26ミリシーベルト(260マイクロシーベルト)である。
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