β崩壊
読み:ベータ-ほうかい
外語:beta decay

 崩壊の一種で、質量数を変えることなく、陽子中性子の変換が行なわれる現象。
目次

概要
 β崩壊は、マクロな視点と、ミクロな視点で、様々に解釈することが可能である。
 また、β崩壊は様々なモードがあり、よく知られるもので、次のようなものがある。
 同一の核種でも、複数の崩壊モードを持つものがある。それぞれは、一定の確率によって選択される。

特徴

β崩壊
 β崩壊は、原子レベルで見ると、原子核中の中性子が電子(β粒子)と反電子ニュートリノを放出して陽子になる。このため原子原子番号が一つ大きくなる。
 通常は、安定核種よりも中性子数の多い核種で起こり、生じる核種(娘核種)は安定核種であることが多い。
 核子レベルでは、β崩壊は次のように記述できる。
 n → p+ + e +  ̄(ν)e
 クォークレベルで見ると、中性子(udd)のd(ダウンクォーク)からWウィークボソンが放出されてu(アップクォーク)へと変化し、結果として陽子(uud)となる。また放出されたWウィークボソンは崩壊によって反電子ニュートリノと電子となる。
 クォークレベルでは、β崩壊は次のように記述できる。
 d(1/3)− → u(2/3)+ + W
 W → e +  ̄(ν)e
  d(1/3)− → u(2/3)+ + e +  ̄(ν)e

β+崩壊
 β+崩壊は、原子レベルで見ると、陽子が陽電子(β粒子)と電子ニュートリノを放出して中性子になる。このため原子は原子番号が一つ小さくなる。
 通常は、安定核種よりも中性子数の少ない核種で起こり、生じる核種(娘核種)は安定核種であることが多い。
 核子レベルでは、β+崩壊は次のように記述できる。
 p+ → n + e+ + νe
 クォークレベルで見ると、陽子(uud)のu(アップクォーク)からW+ウィークボソンが放出されてd(ダウンクォーク)へと変化し、結果として中性子(udd)となる。また放出されたW+ウィークボソンは崩壊によって電子ニュートリノと陽電子となる。
 クォークレベルでは、β+崩壊は次のように記述できる。
 u(2/3)+ → d(1/3)− + W+
 W+ → e+ + νe
 ∴ u(2/3)+ → d(1/3)− + e+ + νe

電子捕獲崩壊(EC崩壊)
 陽子が、軌道上の電子を捕獲吸収して中性子に変化し、その際に電子ニュートリノとX線(特性X線)を放つ現象。このため原子は原子番号が一つ小さくなる。
 反応のメカニズムは異なるが、その結果は、β+崩壊と同様である。
 p+ + e → n + νe

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