陽子線 |
辞書:科学用語の基礎知識 素粒子・用語編 (NPARTY) |
読み:ようし-せん |
外語:proton radiation |
品詞:名詞 |
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特徴 |
陽子線は、中性子線と同様、原子核を構成する陽子という素粒子からなる。
陽子は正の電荷を持つ。加速器によって加速された電荷を放射すると、その電荷により周囲の物質の電子と反応し、そして運動エネルギーを失い徐々に減速をする。
そして特徴的なのは、その運動エネルギーを失う寸前になると、陽子線は低速であるため周囲の物質との作用量が増し、その電離量を大幅に増す特性を持っている。これを発見者の名より、ブラッグピーク(Bragg peak)と呼ぶ。運動エネルギーが果てた後は、その先の物質とは反応しない。
陽子線医学 |
この陽子線の特徴を利用した、陽子線がん治療というものがある。
ブラッグピークが丁度標的、つまり対象となる病変(がん)となるよう、運動エネルギーを調整して陽子線を病変に向けて照射すれば、それよりも遠い側にある正常細胞には影響がなく、それよりも前にある正常細胞はX線などと比べ影響が少ない線量とできる。
もって、その標的の病変細胞のみを障害し、病変部位のDNAのみを破壊し死滅させ、病変は治療されながら他の部位には影響が少ないという、非常に理想的な治療効果を実現できることになる。
陽子線はX線やγ線と同様に利用出来るが、前述のように特定部位にのみ強力に働かせることが可能というブラッグピークの特性に、近年は注目が集まっている。
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