脈動変光星
読み:みゃくどうへんこうせい
外語:pulsating variable

 変光星の分類の一つ。恒星自体が膨張と収縮を繰り返し、大きさや明るさが変化するもの。脈動星とも。
目次

概要
 星の状態が物理的に変化しているが、星の特徴等によって変光自体には幾つかの違いがある。
 一例として、変光星の代表的な星表である変光星総合カタログ(General Catalogue of Variable Stars; GCVS)では、特徴ごとに大きく16の類型に分類し、更にいくつかに細かく細分類している。
 この分類自体は国際天文学連合(IAU)の定義などではないため和名が付いていないものもある。以下に記載されている和名も、必ずしも学会等で公式に使われているものとは限らない。
  1. はくちょう座α型変光星 (ACYG)
  2. ケフェウス座β型変光星 (BCEP)
  3. うしかい座BL型変光星 (BLBOO)
  4. ケフェイド変光星 (CEP)
  5. たて座δ型変光星 (DSCT)
  6. かじき座γ型変光星 (GDOR)
  7. 不規則型変光星 (L)
  8. (LPB)
  9. ミラ型変光星 (M)
  10. ぼうえんきょう座PV型変光星 (PVTEL)
  11. (RPHS)
  12. こと座RR型変光星 (RR)
  13. おうし座RV型変光星 (RV)
  14. 半規則型変光星 (SR)
  15. ほうおう座SX型変光星 (SXPHE)
  16. くじら座ZZ型変光星 (ZZ)

特徴
 以下、変光星総合カタログ(General Catalogue of Variable Stars; GCVS)の類型を和訳し、補足する。
 各タイプごとに、代表となる星(プロトタイプ)が設定されていることが多い。そのほか、代表的な星をいくつか紹介する(順不同)。

はくちょう座α型変光星 (ACYG)
 はくちょう座α型変光星は、恒星の一部が膨張すると、代わりに他の場所が収縮するような脈動(非動径脈動)をする脈動変光星である。
 脈動の範囲は小さく、0.1等級程度。

ケフェウス座β型変光星 (BCEP)
 ケフェウス座β型変光星は、スペクトル型O8-B6 I-Vに見られる変更型で、恒星表面が脈動することによって明るさが変化する。
 周期は数時間から長くて半日程度で、脈動の範囲は小さく0.1等前後以下が多い。

うしかい座BL型変光星 (BLBOO)
 うしかい座BL型変光星は、ケフェイド変光星のうち変則的であるもの。かつては、長周期のRRAB(こと座RR型変光星の一種)とも考えられたが、それらよりはるかに明るい。

ケフェイド変光星 (CEP)
 ケフェイド変光星は、放射状に脈動する高輝度の超巨星で、周期が1〜135日、振幅は僅かから2等級程度までと幅広い。恒星が種族I種族IIによって更に細分化される。

たて座δ型変光星 (DSCT)
 たて座δ型変光星は、種族Iの比較的若い星に見られ、巨星・準巨星から主系列星まで幅広い。変光範囲は小さく0.1等級未満で、周期も数時間以内と短い。

かじき座γ型変光星 (GDOR)
 かじき座γ型変光星は、スペクトル型A〜Fの主系列星や準巨星に見られる。周期は1日の数十分の一から1日を僅かに超える程度までで、変光の範囲は小さく0.1等級を超えることはない。

不規則型変光星 (L)
 不規則型変光星は、不規則にゆっくりとした光度変化を見せる脈動変光星である。変光の脈動の範囲は0.5等級前後。赤色巨星のLB型と、赤色超巨星のLC型に分けられる。

(LPB)
 LPBは、変光周期が1日を超えるような比較的長いB型星に見られるとされる。実例が記載されておらず詳細は不明。

ミラ型変光星 (M)
 ミラ型変光星は、変光周期が100日を超え、変光範囲が2.5等級以上で、比較的規則正しい変光をする脈動変光星。赤色巨星が白色矮星になる寸前の状態である。

ぼうえんきょう座PV型変光星 (PVTEL)
 ぼうえんきょう座PV型変光星は、ヘリウム超巨星のBp星であり、弱い水素の線と強いヘリウムおよび炭素の線を持つ。2時間〜1日程度の周期で脈動するか、あるいは約1年周期で0.1等の振幅で明るさが変化する。

(RPHS)
 非常に速く脈動する高温のB型準矮星。典型的な周期は数百秒で、振幅は数百分の1等級以内である。

こと座RR型変光星 (RR)
 こと座RR型変光星は、スペクトル型A〜F、変光範囲は可視光領域で0.2〜2等級で、放射状に脈動する。ケフェイド変光星(CEP)と同様に絶対等級と変光周期に比例関係があり、古くは短周期ケフェイドなどとも呼ばれていた。この呼び方は現在では廃れている。

おうし座RV型変光星 (RV)
 おうし座RV型変光星は、スペクトル型が最大光でF〜G、最小でK〜Mで、放射状に脈動する超巨星である。
 一周期中で、深い極小(主極小)と浅い極小(副極小)を交互に繰り返すという、食変光星に似た高度変化をする。周期(主極小から次の主極小)は30〜150日程度で、変光範囲は可視光領域で3〜4等級にもなることがある。RVAとRVBの二つに細分類される。

半規則型変光星 (SR)
 半規則型変光星は、光度変化に顕著な周期性を示すが、様々な不規則や中断を含む、中期および晩期スペクトル型の巨星または超巨星である。
 条件により、SRA・SRB・SRC・SRD・SRSの5種類に細分類される。

ほうおう座SX型変光星 (SXPHE)
 ほうおう座SX型変光星は、現象としてはたて座δ型変光星(DSCT)に似ているが、スペクトル型はA2〜F5の準矮星が脈動している。周期は概ね0.04〜0.08日で、振幅は可視光領域で0.7等に達することもある。

くじら座ZZ型変光星 (ZZ)
 くじら座ZZ型変光星は、非動径脈動により明るさが変わる白色矮星である。周期は30秒〜25分、振幅は可視光領域で0.001〜0.2等級である。時折フレアが観測される。

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