石鹸
読み:せっけん
外語:soap
陰イオン界面活性剤の一つ。脂肪(トリアシルグリセロール)にアルカリを加え鹸化して作られた洗剤のこと。
概要
苛性ソーダを加えると固形石鹸に、苛性カリを加えると液体石鹸になる。このため、脂肪酸石鹸とも呼ばれる。
これ以外の手法で作られたものには合成洗剤や高級アルコール系洗剤、陽イオン界面活性剤である逆性石鹸などがあるが、これらは石鹸とは区別される。
特徴
液性
石鹸はアルカリ性である。
これは脂肪酸石鹸は脂肪酸とアルカリ金属(主としてナトリウム)の塩であり、つまり弱酸と強塩基の塩であるために、水に溶かすと加水分解により弱アルカリ性となる。
性質
飽和脂肪酸の石鹸は酸化されにくい。低級(炭素数が少ない)のものは融点が低いため低温の水にも溶けやすいが、高級(炭素数が多い)のものは融点が高く、低温の水には溶けにくい。
不飽和脂肪酸の石鹸は、二重結合部分が単結合よりも水分子との親和性が良いため低温の水にも溶けやすいが、二重結合の部分が酸化されやすいという欠点がある。
毒性
石鹸は合成洗剤と違ってベンゼン核と硫酸基を持たない。
このため川などに流しても微生物を殺さず、川や海を汚濁しないという利点があるとされるが、これは事実ではない。
石鹸メーカーは、合成洗剤より環境に優しいとして粉末や液体石鹸を販売しているが、事実とは乖離している。酷い会社になると、石鹸は分解される、石鹸カスは微生物の栄養源になる、などと主張しているところもある。
実際には、石鹸もかなりの魚毒性を示し、また純石鹸成分である脂肪酸ナトリウムはかなり強いアルカリ性を示す。
洗濯用石鹸として洗濯に特化した石鹸も市販されているが、粉末の石鹸などは低温の水に溶けにくく溶け残りが生じてしまうため、使いにくい。また、合成洗剤の半分程度しか洗浄力がないため、分量を多く必要とする欠点がある。このため現在では合成洗剤が主流となった。
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