液体燃料ロケット
読み:えきたいねんりょうロケット
外語:Liquid Fuel Rocket
液体の燃料を用いるロケット。「液体ロケット」ともいう。
概要
日本のH-IIロケット、H-IIAロケットや、アメリカのサターンロケットなどがその代表例である。
原理的には一度点火してしまうとその全面積にわたって一気に燃焼していく固体燃料ロケットエンジンに対して、液体燃料ロケットは燃焼室に燃料と酸化剤とを少量づつ調整しつつ送り込まねばならない。
このため液体燃料ロケットは構造が複雑で部品点数も多く、開発や設計、取り扱いが難しい。極めて簡単な構造の個体燃料ロケットが中世には既に用いられていたのに対し、液体燃料ロケットが初めて用いられたのは第二次世界大戦中にドイツが開発したV-2ロケットである。
特徴
燃料
燃料(竏250℃の液体水素)と酸化剤(竏180℃の液体酸素)が別々のタンクに入れられ、それぞれをロケット最下段にある燃料室に送り込み燃焼させ、ガスをノズルから下方へ噴出して推力とする。
液体燃料ロケットは、真っ白な美しい煙が特徴。成分は水である。見る者にとっても魅力的な煙である。
燃料と酸化剤を燃料室に送り込む方法には、主にガス圧式とタービン式がある。
利点と欠点
液体燃料ロケットが固体燃料ロケットに対して優れている点は、バルブの調整により容易に姿勢制御が出来るという点である。したがって、宇宙事業におけるロケットは液体燃料ロケットが用いられる。有人ロケットなども、発射の際にはいきなり加速はさせず、ゆっくりと速度を上げてゆくことでペイロードや搭乗員に対するGの影響を減らすことができる。
その代わり、構造が複雑、故障が発生しやすい、高価、保守整備が大変、といった難点がある。また、酸化剤として用いられる液体酸素は竏183℃という非常に低い沸点を持つため、発射直前に注入しないとどんどん蒸発してしまうが、この注入には30分以上かかってしまう。
これらは長期に渡って整備が出来、1分1秒を争うような緊迫した中で打ち上げられることのない民間ロケットでは特に問題点にはならないが、軍事ロケットとなると大きく問題となる。そのためソ連(民政ロシア)を除く各国では固体燃料ロケットを使用している(ソ連が液体燃料ロケットを使用し続けた理由は不明)。
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