三重水素
読み:さんじゅうすいそ
外語:T: tritium
水素
の
同位体
の一つで、質量数が3の水素のこと。放射性同位体である。「トリチウム」とも呼ばれる。
目次
情報
概要
特徴
崩壊
生体への影響
換算
飲んだとき
生成
情報
記号: T、
3
H
原子番号
: 1
質量数
: 3 (
陽子
1、
中性子
2)
天然存在比: 微量
半減期
: 12.33年
比放射能
: 3.67×10
14
(367兆Bq/g)
比放射能の逆数: 2.79×10
−15
崩壊
の種類:崩壊後生成物
β崩壊
(β
−
崩壊) →
3
He
概要
陽子1個、中性子2個、
電子
1個で構成されている。
核融合
の実験などで使われる。
核融合発電では、
リチウム
に中性子をあててトリチウムを作ることが想定されている。
特徴
崩壊
三重水素は、半減期は12.33年で、
β崩壊
する。
その殆どはβ
−
崩壊し、
電子
(β粒子)と
反電子ニュートリノ
( ̄(ν)
e
)を放出して、
ヘリウム
の安定核種である
ヘリウム3
(
3
He)になる。
3
H →
3
He + e
−
+  ̄(ν)
e
生体への影響
換算
科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)
における、三重水素の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。
吸入摂取した場合 (元素状水素) 1.8×10
−12
吸入摂取した場合 (メタン) 1.8×10
−10
吸入摂取した場合 (水) 1.8×10
−8
吸入摂取した場合 (有機物(メタンを除く)) 4.1×10
−8
吸入摂取した場合 (上記を除く
化合物
) 2.8×10
−8
経口摂取した場合 (水) 1.8×10
−8
経口摂取した場合 (有機物(メタンを除く)) 4.2×10
−8
経口摂取した場合 (上記を除く化合物) 1.9×10
−8
つまり、水で10,000ベクレルを経口摂取した(飲んだ)時の実効線量は0.00018ミリシーベルト(0.18マイクロシーベルト)である。
飲んだとき
例えば、事故のあった原子力発電所周辺の井戸水が1リットルあたり17万ベクレルだったとする。
この時の実効線量は17×0.00018=0.00306ミリシーベルト(3.06マイクロシーベルト)である。
これを毎日2リットル365日飲んでも、実効線量は2.2ミリシーベルトにしかならず、誤差の範囲内である。
この
放射線量
で健康に影響を与えようと思うとギガベクレル級の量が必要だろうが、水を大量に飲めば、下痢などの健康被害があるだろうし、本当に大量に飲んでしまえば水中毒で死亡するだろう(成人の水の
致死量
は10リットル程度)。
日常的な量で、トリチウムから健康被害を受けることは極めて難しいと判断できる。
生成
核分裂
や
核融合
で生じるのではなく、天然には
中性子
との反応によって生じる。
太陽
のような
恒星
中でももちろん生じているが、
地球
でも大気中にて生じており、このため半減期はさほど長くはないにも関わらず、地球上に存在している。
地球には、宇宙から常に
宇宙線
が降り注いでいる。これによって
大気圏
上空では様々な反応が生じており、この反応中に発生した
中性子
と、大気中の
窒素
が反応し、三重水素が生じる。
14
N + n →
12
C +
3
H
この他、人工的には海水中に多く含まれるリチウムに中性子を衝突させて作られる。
6
Li + n →
4
He +
3
H
7
Li + n →
4
He +
3
H + n
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