パラメトロン
読み:パラメトロン
外語:parametron
1954(昭和29)年、当時
東京大学
理学部 物理学教室 高橋秀俊研究室の大学院生だった後藤英一が発明した電磁リレー素子で、
電子計算機
に用いられた。
目次
概要
特徴
動作原理
パラメトロン計算機
メリット・デメリット
概要
パラメトロンは、「パラメーター励振」(パラメトリック励振とも)という物理現象を利用した、論理回路素子である。
ただし素子とは言っても、
真空管
や
コンデンサー
のような単体の素子ではなく、
共振回路
に近い。
特徴
動作原理
LC共振回路
に
共振周波数
(f)の二倍の周波数(2f)を加えると、周波数fで位相のずれた、0°又は180°の信号を発振する。
この二つの位相に、
2進数
の0と1を対応させることができる。
パラメトロン計算機
このパラメトロンを用い、高橋研究室で作成されたコンピューターがパラメトロン計算機のPC-1とPC-2である。
PC-1は1958(昭和33)年3月26日に完成し、1964(昭和39)年5月まで稼働していた。完成50年にあたる2008(平成20)年3月26日には、記念イベントが催されている。
メリット・デメリット
日本の本格的なコンピューターは、
真空管
の時代を飛ばしてパラメトロンから始まった。
当時は既に
トランジスタ
はあったが、
大東亜戦争
停戦後十数年という当時、日本はまだ貧しく、高価だったトランジスタを大量に使うことは現実的ではなかった。
一方、パラメトロンは
コイル
と
コンデンサー
という安価な部品だけで作ることができたため、これを用いてコンピューターが作られたのである。
ディジタルに関する知識だけではなく、発振や
共振
といった知識も必要であった。大学院という場所柄、コンピューター製作の成功の如何を問わず、学問的に有意義なものがあったのだと考えられる。
パラメトロン計算機は真空管式コンピューターに比べて信頼性や消費電力量などの点で優れていたが、計算の高速化に難があり、トランジスタの性能が上がるにつれて廃れてしまった。
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