トリウム系列
読み:トリウムけいれつ
トリウム232から鉛208までの放射性核種崩壊系列のこと。「4n系列」とも呼ばれる。
概要
崩壊系列では、α崩壊、β−崩壊(β崩壊)、核異性体転移(IT)、という三種類が連なる。
このうち質量が変化するのはα崩壊のみで、変化する質量数は4である。
大きな系列を成す崩壊系列は四種類が知られているが、それぞれの崩壊系列は、質量数を4で割った余り(剰余)が同一になる。
トリウム系列の場合は、質量数を4で割った剰余が常に0になる。
特徴
系列
トリウム系列の親核種はトリウム232である。これは、モナズ石(モナザイト)などに含まれている。ここからさらに遡ることも可能で、遡ればウランやプルトニウムなども出てくるが、一般にトリウム系列はトリウム232から始まる。
トリウム系列の各娘核種たちは、最終的な安定同位体である鉛208に至るまで、いずれも半減期が比較的短く、このため放射能が強いといえる。
娘核種のうち、ラドン220のみが常温常圧で気体であり、他の三種類ある崩壊系列を含めて、最大の体内被曝要因になっている。
またラジウム224は、主要なラジウム温泉の放射線源である。
系列表
途中、数ヶ所で枝分かれがあるが、最終的には鉛208に落ち着く。
この系列は、確率が低い経路は省かれているため、他の核種が生じる可能性もある点は考慮が必要である。
番号 | 核種 | 半減期 | 種類 | 確率(%) | 娘核種 |
| 番号 |
1 | トリウム232 | 232Th | 140.5億年 | α | | 228Ra | 2 |
2 | ラジウム228 | 228Ra | 5.75年 | β− | | 228Ac | 3 |
3 | アクチニウム228 | 228Ac | 6.15時 | β− | >99% | 228Th | 4 |
α | | 224Fr | 4-1 |
4 | トリウム228 | 228Th | 1.9131年 | α | | 224Ra | 5 |
4-1 | フランシウム224 | 224Fr | 3.3分 | β− | | 224Ra | 5 |
5 | ラジウム224 | 224Ra | 3.66日 | α | | 220Rn | 6 |
6 | ラドン220 | 220Rn | 55.6秒 | α | | 216Po | 7 |
7 | ポロニウム216 | 216Po | 0.145秒 | α | | 212Pb | 8 |
8 | 鉛212 | 212Pb | 10.64時 | β− | | 212Bi | 9 |
9 | ビスマス212 | 212Bi | 60.55分 | β− | 64.1% | 212Po | 10 |
α | 35.9% | 208Tl | 10-1 |
10 | ポロニウム212 | 212Po | 0.299μ秒 | α | | 208Pb | 11 |
10-1 | タリウム208 | 208Tl | 3.053分 | β− | | 208Pb | 11 |
11 | 鉛208 | 208Pb | ∞ | | | | |
元素
この系列に現われる元素は、次の通り(原子番号 降順)。
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