テロメア |
辞書:科学用語の基礎知識 生物学編 (BBBIO) |
読み:テロメア |
外語:telomere |
品詞:名詞 |
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概要 |
大腸菌などの細菌染色体は環状構造を成していて末端というものが存在しないが、それ以外の、酵母・黴(カビ)などの微生物から我々人間までの生物ではDNAは直鎖状であり末端が存在する。
この末端部分にあるDNAがテロメアである。一説では、他の染色体との融合を防ぐため、あるいはDNA自体の分解を防ぐためにあると言われている。
特徴 |
構造 |
ヒトのテロメアは、6個のヌクレオチド(TTAGGG)の繰り返し配列であり、初期には約10kbp程度の長さである。つまり、TTAGGGが約1,600個以上並ぶ構造をしている。
DNAであるので、基本的には大部分が二本鎖であるが、3'末端側は数十塩基が一本鎖で突出しているとされる。
なお、TTAGGGという配列は3'末端側であり、対する5'末端側はAATCCCである。
分裂ごとの短縮 |
細胞分裂の際のRNAプライマー部分はDNAに置換されないため、分裂ごとに5'末端側のテロメアが短縮する。
その後、複製の鋳型となった親DNAも含め、5'末端が修正され、もってDNA複製後は親DNAも子DNAも、テロメア部分が短縮する。
この理論は1972(昭和47)年には報告され知られていたが、実際に複製ごとに約50〜150塩基対(以下塩基対をbpとする)程度のテロメア短縮が判明したのは1989(平成元)年になってからである。
そして、テロメアの長さが約5kbp程度(繰り返し構造が800個程度)にまで短くなると、細胞は分裂寿命を迎え、細胞分裂を停止する。これをM1期という。
分裂停止後 |
正常細胞においては、テロメアの二本鎖にはTRF1と呼ばれる蛋白質が結合しており、テロメアの延長を抑制している。
このためテロメアが伸ばされることはなく、M1期を迎えた細胞のDNAは徐々に不安定となり、やがて細胞は安定を保つことができなくなり、アポトーシスを起こす。これをM2期という。
がん細胞 |
テロメアが細胞の寿命を決める証拠として挙げられているのが、がん細胞である。
がん細胞、骨髄細胞、精巣細胞には、テロメア修復酵素「テロメラーゼ」が存在し、細胞分裂によって短くなったテロメアを長くすることができる。このため細胞はM1期やM2期を迎えることなく、つまり死ななくなり、無限に細胞分裂を繰り返すことができると考えられている。
このため次世代抗がん剤の研究においては、がん細胞内のテロメラーゼを阻害するような化合物を作る研究がされている。
リンク |
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