抗インフルエンザウイルス剤(ノイラミニダーゼ阻害剤)。A型とB型のインフルエンザウイルス感染症及びその予防薬。

目次 情報 基本情報 誘導体、関連物質の例 特徴 薬効薬理 作用機序 用法、用量 副作用など 規制区分 補足 製品例

情報

基本情報

• 分子式: C₁₂H₂₀N₄O₇・χH₂O
• 分子量: ‐
• 比重: (該当資料なし)
• 融点: (該当資料なし)
• 沸点: (該当資料なし)
• CAS番号: 139110-80-8
• ICSC番号: (登録なし)
• 化学名: (+)-(4S,5R,6R)-5-acetylamino-4-guanidino-6-[(1R,2R)-1,2,3-trihydroxypropyl]-5,6-dihydro-4H-pyran-2-carboxylic acid hydrate

ザナミビル水和物

• 外観: 白色の粉末
• 溶解性:
  • 水にやや溶けにくい
  • エタノール(99.5)、アセトニトリル、ジエチルエーテルに殆ど溶けない
  • 0.0075mol/L硫酸溶液にやや溶けにくい

誘導体、関連物質の例

• N-アセチルノイラミン酸(シアル酸) (一般的な製法での最初の素材)
• ニトロブテン (近年発見された最初の素材)

特徴

薬効薬理

主要な用途は次のとおり。

• A型とB型のインフルエンザウイルスへの感染症。

作用機序

本剤の活性体は、ヒトA型及びB型のインフルエンザウイルスの酵素ノイラミニダーゼを選択的に阻害し、感染細胞からの遊離を阻害することでウイルスの増殖を抑制する。

本剤は抗ウイルス剤であり、細菌感染症には効果がない。

用法、用量

治療に用いる場合、成人及び小児にはザナミビルとして1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を1日2回、5日間、専用の吸引器で吸入する。

予防に用いる場合、成人及び小児にはザナミビルとして1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を1日1回、10日間、専用の吸引器で吸入する。

副作用など

• 過敏症
  • 発疹
• 消化器
  • 下痢、悪心、嘔吐
• 感覚器
  • 味覚障害

過敏症が発生した場合は、速やかに投与を中止すること。

規制区分

• 処方せん医薬品

補足

元々は、発酵技術で作られる「シアル酸」という原料から合成されてきた。

シアル酸の一種N-アセチルノイラミン酸は、海燕の巣に多く含まれていることが知られるが、協和発酵バイオなどは微生物を利用した方法によりシアル酸を製造している。

いずれにせよ生物学的に作られるものであるため製造量に限度があり、またシアル酸から化学構造を変えることも難しいためザナミビル水和物の製造は高コストだった。製品のリレンザも、薬価がかなり高い。

2011(平成23)年11月、微生物化学研究所(東京都品川区)の柴崎正勝所長らのチームが、石油から安価に生成できるニトロブテンを使った方法での合成に成功したと発表した。石油原料の化学合成では大量生産が可能なほか、類似物質も比較的簡単に製造可能であるため、耐性ウイルスが出現した場合でも、そのウイルスに対応した抗ウイルス剤が素早く合成できる利点がある。

製品例

• リレンザ (グラクソ・スミスクライン)

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