ウラン238
読み:ウラン-にひゃくさんじゅうはち
外語:238 U

 ウラン同位体の一つ。
目次

情報

概要
 天然ウランのほぼ全量、99.2742%がウラン238である。半減期は44億6800万年とされる。
 核燃料として使われるのはウラン235で、天然ウランを濃縮することでウラン235濃度を高めたものが濃縮ウランとなる。したがって、その残滓である劣化ウランは殆どがウラン238ということになる。

特徴

核燃料化
 ウラン238が核燃料や核兵器として全く役に立たないかというと、そうでもない。
 原子炉では、次の順序にて、ウラン238から、核燃料になる239Pu(プルトニウム239)を作ることが出来る。
  1. 238U(ウラン238) + n(中性子捕獲) → 239U(ウラン239)
  2. 239U → β崩壊(半減期23.45分) → 239Np(ネプツニウム239)
  3. 239Np → β崩壊(半減期2.3565日) → 239Pu(プルトニウム239)

中性子捕獲
 ウラン238は中性子捕獲率が高く、ウラン239へと変化しやすい。
 これは、核分裂反応においては減速材として機能することを意味する。
 したがって、兵器級の高濃縮ウランにおいては、ウラン238濃度を減らす努力がなされる。
 軽水炉においてはウラン238の濃度の高い低濃縮ウランが使われるが、原子炉内でプルトニウムに変化し燃えるため、特に支障は無い。さらに、高速増殖炉は意図的にウラン238からプルトニウムを生成する能力を高めたものである。

生体への影響
 科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)における、ウラン238の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。
 つまり、四価以外の化合物10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.44ミリシーベルト(440マイクロシーベルト)である。

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