すざく |
辞書:科学用語の基礎知識 天文学人工衛星編 (USATE) |
読み:すざく |
外語:SUZAKU: Astronomy Satellite-EII |
品詞:固有名詞 |
第23号科学衛星すざく。JAXAが宇宙科学研究所(ISAS)だった頃から開発し、打ち上げられた国産X線天文衛星。
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情報 |
基本情報 |
仕様 |
その他仕様 |
沿革 |
特徴 |
名称 |
愛称選定委員会では、大きく羽を広げた姿から「おおとり」などが好評を博していたが、プロジェクトマネージャーの井上一が「すざく」を提案した。
搭載されたマイクロカロリメータを中心として新時代を切り開くX線衛星であり、初代X線天文衛星「はくちょう」の伝統を継いで、今度は「朱い鳥」にして欲しい、という提案が元となっている。
こうして「すざく」(朱雀)に決定。この名になった由来は、JAXAより次の4つが示された。
観測目標 |
はくちょう、てんま、ぎんが、あすかに続く、日本5番目のX線天文衛星である。
軟X線からγ線までの広帯域(0.4〜600keV)を観測できるのが特徴。
高い分光能力と広観測帯域により、ブラックホールや超新星、あるいは銀河団の衝突・合体や、巨大ブラックホールへ吸い込まれる直前の天体から放射されるX線など、宇宙の高エネルギー現象の観測により宇宙の構造や進化の謎の解明に貢献することが期待された。
装備 |
口径40cm、焦点距離4.5m〜4.75mの望遠鏡で、5台搭載されている。この望遠鏡は、先代「あすか」のそれと比べ、有効面積、結像性能ともに倍近い改善が図られている。
軽量でありながらも、10keV近い高エネルギーX線に対して、世界最大級の感度を持つ。
5台の望遠鏡中、4台の焦点面上に搭載されているのが、このX線CCDカメラである。
観測範囲は0.5keV〜12keVのX線領域である。
4台を併用すると、X線望遠鏡としては世界最大級の有効面積となる。
5台の望遠鏡中、1台の焦点面上に搭載されているのが、このX線検出器である。
NASAなどとの共同開発により、従来の検出器と比べて一桁も波長分解能が高い、高分解能X線分光器である。
検出器は絶対温度60ミリK(-273.09℃)という極低温で動作するため、すざくでは三段階の冷却機構を新規に開発し、搭載した。
検出器は冷凍機で冷凍し、冷凍機を液体ヘリウムや固体ネオンで冷却するシステムである。寒剤は消耗品で、観測期間は2〜3年間とされた。
2005(平成17)年7月27日には絶対温度60ミリKへの冷却に成功し、X線分光にも成功したが、打ち上げから僅か1ヶ月で液体ヘリウムが蒸発(消失)する問題が発生、XRSでの観測は早々に終了となった。原因はヘリウムを機体内部に還流させたことと考えられており、同様に冷却が必要な赤外線天文衛星あかりでは、直接排気に変更されている。
状況 |
打ち上げまで |
度重なる延期の末、一度は2005(平成17)年2月頃に決まったものの、H-IIAロケット打ち上げ失敗の余波で更に延期された。
2005(平成17)年6月26日12:00(@166)の打ち上げが決まったが、後に三段目エンジンのノズルの不調によりΜ-Vロケット8号機(Μ-V-8)のものと交換のため、7月6日に延期となった。
その後、梅雨時ゆえの天候不順により再度延期され、7月10日に打ち上げとなった。
成果 |
X線マイクロカロリメータ(XRS)のみ不調だったが、それ以外の3機で高精度の観測を達成した。
従来の衛星が10keVまでの観測だったのに対し、「すざく」は700keVまで観測可能など広いエネルギー帯域での観測を可能とし、また世界最高レベルの感度も達成するなど、優れた功績を上げた。
「すざく」の観測により、宇宙の構造形成、ブラックホール直近領域の探査などの成果があり、科学論文も多数公開されている。
リンク |
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