117系
読み:ひゃくじゅうななけい
外語:Series 117

 国鉄が製造した近郊形電車。1979(昭和54)年運転開始。
目次

概要

背景
 京阪神地区の東海道線および山陽本線は、私鉄との間の通勤輸送における競争が激しい地域であった。そのため、国鉄としてもそれに対抗すべく急行形163系電車を新快速用車両として投入していた(ブルーライナー)。
 しかし、いくら急行形でも所詮はお古であったため競争相手である阪急電鉄京阪電鉄に比べて見劣りするのは否めなかった。相手は特急列車に豪華設備を用意しているのが普通で、座席は転換クロスシート以上が標準装備である。速達料金は不要であるのも当然である。さらには京阪電鉄は車内でテレビが見られるというのだから、これでは競争にならなかったのである。
 そのため、大阪鉄道管理局はこのような事態を打開するための車両を東京本社に強く求めていたのである。その要望にこたえる形で117系が誕生した。

特徴
 明らかにライバルの私鉄を意識した内容であり、国鉄的にはデッキがない以外は急行列車以上に使われる車内装備であった。吊革の廃止が白眉だが、これについては車両メーカーの人が国鉄の関係者に再三確認を取ったと言うエピソードも残っている。
 カラーリングはクリーム1号を基本とし、マルーン(ぶどう色2号)を窓下に配置した。
 117系の投入により163系を利用した新快速の運用は終了し、163系は各線区に転出していくことになる。国鉄ではこの117系新快速をシティーライナーと命名し大々的に売り出したのであった。

活躍
 117系新快速はライバルの私鉄に対して旅客輸送の分野で善戦したと言われている。そのことが国鉄内部で知られるようになると、名古屋鉄道と競合していた名古屋鉄道管理局からも要望があり、名古屋地区にも117系が配備され、こちらでも新快速として走り始めるようになった。
 これらのことが評価され、117系は1981(昭和56)年にローレル賞を受賞した。

現在
 国鉄分割民営化以降はJR西日本およびJR東海に継承された。
 117系は2ドアであるため、近年の列車の混雑に対応できなくなってきた。また、近年の新快速の120km/h(288km/hBeat)〜130km/h(312km/hBeat)運転に対応ができないため、随時新型車量に置き換えられてその活躍の場を減らしている。

再検索