シフトレバー
読み:シフトレバー

 MT車のトランスミッション(変速機)の歯車の組み合わせを切り替えるためのレバーのこと。
目次

概要
 MT車では、運転手が適切に歯車比を切り替えて、必要な出力や速度を得る必要がある。この時、その操作に用いられるものがシフトレバーである。
 AT車には存在しないが、代わりに「セレクター」と呼ばれる似たようなレバーが存在する。

技術

ギア
 エンジンの回転を動輪に伝えることで車は走る。これが基本中の基本である。しかし、始動からいきなり最速では車は動かない。
 エンジンの回転は、高速だが力が弱い。そのままでは、車を発進する力が無いため発進できない。そこでエンジンの回転数を下げて力(トルク)を強める必要があり、車の速度に合わせて徐々に回転数を上げていく必要がある。このためにギアを使う。
 乗用車のギアは何段階か存在するが、ここから分かるようにギアとは原則的には減速ギアなのである。但し、実際の運転において、減速ギアかどうかを意識する必要は全くない。車によっては増速ギアの場合もあるかもしれないが、それは結果論であり、運転するにあたっては特別な意味はない。

ギア比
 エンジンから伝えられる回転運動に対し、タイヤをどのように回転させるかはタイヤに最も近い箇所に付けられたギア(ファイナルギア)で実施するので、求めるギア比はこれに合わせて設定する。これを「減速比」と呼ぶ。
 そして、エンジンと直結では速すぎるので、発進時に必要な力を得ることも含めて段階的に設定する必要がある。このための機構が「トランスミッション」(変速機)であり、こちらは「変速比」と呼ぶ。

4速MT
 大昔には、4速MTが一般的で、またFR(後輪駆動)が主流だった。
 FRは、エンジンが前(F)にあり、駆動輪が後ろ(R)にあるので、車には縦に軸(プロペラシャフト)が通っている。
 そして、最後のギアである4速とは、歯車がなく変速せずに直結するものであった。つまり「変速比1」である。このため4速を「トップ」と呼び、今もこの呼称が残されている。そして、1速〜3速は、4速に至るまでの道のりであると言うことができる。
 時代は移り、エンジンが進化し車の高速化に伴い4速の上に5速が加わると、これはトップを超えた「オーバートップ」と呼ばれるようになった。当時としては画期的なものだったためこのように呼ばれたが、現在においては当たり前になりすぎており、もはやトップ/オーバートップという呼称に意味はない。

5速MT
 現在は5速MTが一般的で、またFF(前輪駆動)が主流となった。
 エンジンからすぐ駆動輪を動作させることになるが、そのためのユニットには直結させるためのギアは無い。直結せず必ずギアを介する以上、もはや「変速比1」にこだわる理由はなくなった。
 5速ミッションの場合、多くは3〜4速あたりでギア比1を跨ぐが、乗用車の仕様書を見ても、必ずしも変速比1.00があるとは限らなくなった。従って、トップ/オーバートップという呼称に意味はないのである。
 但し理論上はこのギア比は何でも良いはず(ファイナルギアで調整すれば良いだけなので)で、極端な例では1速でギア比1でも問題はないが、この場合はファイナルギアの歯車が巨大化するため現実的でなく、コストなど現実的な側面から、現在のような仕様に落ち着いている。

6速MT
 高性能車を中心に、6速MTが採用された車がある。5速と選択可能なようにバリエーションが用意されていることもある。
 FF(前輪駆動)が主流で、基本的機構も5速MTと大差ない。
 6速ミッションの場合、多くは4〜5速あたりでギア比1を跨ぐ。5MTの5速より6MTの6速はギア比が小さく設定されている例が多い。つまり、より高速走行向きということである。

特徴

5MT配置
 一般的な乗用車のものは、5速MTの場合は、左上が1、左下が2で、中央が3、4、右上が5、右下がR(リバース)、という配置が一般的である。
 バスやトラックの場合、1速はあるがあまり使わず、2速発進が一般的で、時に3速発進することもある。このため、乗用車の1速の位置に2速があり、1速はその左横に邪魔くさそうに配置されている。
 このようになっている理由は、トラック等は積載量が大きいためであり、「空」と「満載」では差がありすぎることから、対応のためにこのようになっている。1速はかろうじて動く程度の速度しか出ないが、これは最大積載時に坂道発進するような状況が想定して搭載されている。このため、平地や軽い坂道の場合は、2速発進するのである。

6MT配置
 6速MTの場合、5速MTのRの部分を6速として、Rを更に別の場所に設ける。次のように様々なパターンがある。
 このため、シフトパターンの表示が無いと車検に受からないようである。

再検索