ひらがな町村名
読み:ひらがな-ちょうそんめい

 漢字がなく、ひらがなで命名されている町名や村名のこと。
目次

概要
 意味が分からないことが多く、町村の顔が見えてこないため、痛い地名だとして他地域から非難される。
 一般に、「自治体である郡部の町村」をいうが、市にあるひらがな町名や区名もこれに含むものとする。但し、市の中の町や区は自治体ではないので分けて扱う。
 また町村域名に「の」だけをひらがなとして含む漢字かな混じりの町村名もここに含むが、これは痛い地名からは除外されるべきであろう。

特徴

歴史
 日本初のひらがなのみの町村名は、1955(昭和30)年3月31日に和歌山西牟婁郡周参見町が周辺町村を編入して作られたすさみ町である。
 現存する漢字かな混じりの町村名で最古は、和歌山県西牟婁郡すさみ町である。
 次のように続いた。一部自治体は、既に合併等で消滅している。
  1. 熊本県阿蘇郡一の宮町
  2. 和歌山県西牟婁郡すさみ町
  3. 山口県阿武郡むつみ村
  4. 和歌山県伊都郡かつらぎ町
  5. 北海道日高振興局管内幌泉郡えりも町
  6. 滋賀県東浅井郡びわ町
  7. 東京都西多摩郡日の出町
  8. 熊本県球磨郡あさぎり町
  9. 和歌山県日高郡みなべ町
  10. 島根県隠岐郡隠岐の島町
  11. 高知県吾川郡いの町
  12. 徳島県美馬郡つるぎ町
  13. 佐賀県三養基郡みやき町
  14. 鹿児島県薩摩郡さつま町
  15. 北海道檜山振興局管内久遠郡せたな町
  16. 群馬県利根郡みなかみ町
  17. 埼玉県比企郡ときがわ町
  18. 青森県上北郡おいらせ町
  19. 徳島県三好郡東みよし町
  20. 福井県遠敷郡おおい町
  21. 香川県仲多度郡まんのう町
  22. 福岡県京都郡みやこ町
  23. 北海道胆振総合振興局管内勇払郡むかわ町
  24. 北海道日高振興局管内静内郡新ひだか町

合併破談
 ひらがな市名が社会問題となっているが、町村名も同様である。
 「町村名を決める人達」と「住人」の乖離はどこも同様に激しいようで、決定した町村名のみを理由として合併が破談となった例も少なくない。
 例えば、長崎県北松浦郡佐々町と同郡小佐々町が2005(平成17)年4月1日に「さざなみ町」となる予定だったが、合併は破談となった。小佐々町は後に佐世保市に吸収合併された。

自治体

現在のひらがな町村名
県名郡名町村名読み町村制施行日
北海道幌泉郡えりも町えりもちょう1970(昭和45)年10月1日
久遠郡せたな町せたなちょう2005(平成17)年9月1日
勇払郡むかわ町むかわちょう2006(平成18)年3月27日
静内郡新ひだか町しんひだかちょう2006(平成18)年3月31日
青森県上北郡おいらせ町おいらせまち2006(平成18)年3月1日
群馬県利根郡みなかみ町みなかみまち2005(平成17)年10月1日
埼玉県比企郡ときがわ町ときがわちょう2006(平成18)年2月1日
東京都西多摩郡日の出町ひのでまち1995(平成7)年9月1日
福井県遠敷郡おおい町おおいちょう2006(平成18)年3月3日
和歌山伊都郡かつらぎ町かつらぎちょう1958(昭和33)年7月1日
日高郡みなべ町みなべちょう2004(平成16)年10月1日
西牟婁郡すさみ町すさみちょう1955(昭和30)年3月31日
島根県隠岐郡隠岐の島町おきのしまちょう2004(平成16)年10月1日
徳島県美馬郡つるぎ町つるぎちょう2005(平成17)年3月1日
三好郡東みよし町ひがしみよしちょう2006(平成18)年3月1日
香川県仲多度郡まんのう町まんのうちょう2006(平成18)年3月20日
高知県吾川郡いの町いのちょう2004(平成16)年10月1日
福岡県京都郡みやこ町みやこちょう2006(平成18)年3月20日
佐賀県三養基郡みやき町みやきちょう2005(平成17)年3月1日
熊本県球磨郡あさぎり町あさぎりちょう2003(平成15)年4月1日
鹿児島薩摩郡さつま町さつまちょう2005(平成17)年3月22日

過去のひらがな町村名
県名郡名町村名読み町村制施行日廃止日
滋賀県東浅井郡びわ町びわちょう1971(昭和46)年4月1日2006(平成18)年2月13日
山口県阿武郡むつみ村むつみそん1955(昭和30)年4月1日2005(平成17)年3月6日
熊本県阿蘇郡一の宮町いちのみやちょう1945(昭和20)年4月1日2005(平成17)年2月11日

市政下
 市政下の町域名というあまり目立たない中にも、様々な「伏兵」がある。
 カタカナ町村名なら、企業名、企業ブランド名といった例が多いが、ひらがなとなると、あまり良い例がない。
 まともな例としては、例えば神奈川県横浜市泉区には、「池の谷」「西が丘」という2町がかなを含む。こういったものも含めると全国には相当数のひらがな町村名があると考えられる。
 まともでない例は、「山形県酒田市こあら町」などがある。元は「古荒町」だったが、ある日突然ひらがなになったらしい。漢字から受ける印象の悪さが改名の理由と見られる。
 同様に、「北海道江別市豊幌はみんぐ町」といったものもある。由来は定かではないが、田舎の分譲住宅地であり、若者向けにハイカラ(死語)な名前を狙った可能性がある。

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