安房峠をトンネルで抜ける道路であり、中部縦貫自動車道の一部をなす、自動車専用道路の一般有料道路。
- 起点: 長野県松本市安曇上高地(中ノ湯)付近 (旧・南安曇郡安曇村上高地)
- 終点: 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯(平湯IC) (旧・吉城郡上宝村平湯)
- 延長: 約5.6km
- 構造規格: 第一種第三級
- 設計速度: 80km/h(192km/hBeat)
- 道路幅員: (未確認)
- 車線数: 4車線(暫定2車線)
- 制限速度: (未確認)
- 最低速度: 設定なし
- 標識規制: (未確認)
指定区間は存在しない。
- 1964(昭和39)年: 計画
- 1980(昭和55)年: 中ノ湯側から調査坑掘削着工
- 1983(昭和58)年: 平湯側側から調査坑掘削着工
- 1989(平成元)年8月: 安房峠道路が中部縦貫自動車道に昇格
- 1989(平成元)年10月: 本坑掘削開始
- 1997(平成9)年12月6日: 供用開始
通行料金は次のとおり。
- 軽自動車: 600円
- 普通車: 750円
- 中型車: 900円
- 大型車: 1,250円
- 特大車: 2,050円
支払いは現金のみである(かつてはハイウェイカードも利用できた)。
クレジットカードは使用できない。ETCゲートも存在しない。
経路の殆どが直線のトンネル区間であり、安房峠を地下で通る。往復2車線しかないが、高規格であるので走りやすい。
中部縦貫自動車道として平湯から先は、岐阜県高山市丹生川町(旧・大野郡丹生川村)までは現時点では計画中だが、高山市丹生川町から先は国道158号高山清見道路が存在する。
管理は中日本高速道路株式会社であり、かつては日本道路公団(JH)が行なっていた。
この道路は、霧や積雪時などに通行困難になる国道158号(現道)のバイパスとしての機能がある。
現道は、安房峠道路が完成するまでの主道路だったとは信じられない程の幅員の狭さに加え、海抜1,750mの安房峠を越える区間の急勾配と急カーブが連続する峠道であり、交通の難所だった。これに代わる道路として作られた安房峠道路は走行性及び安全性の向上に貢献している。
かつて飛騨は、冬期には雪で陸の孤島と化した。隣県の信州と結ぶトンネルは1964(昭和39)年に計画されたが、ここは温泉が出ることからも分かるように、北アルプスの火山帯なのである。
活火山に穴を掘るという事の意味や恐ろしさは言うまでもないところだが、このような難工事のためボーリング調査などが長引き、トンネルが完成したのは何と33年も後の1997(平成9)年であった。
明らかに難工事が見込まれる中、調査坑掘削着工は、中ノ湯側からは1980(昭和55)年、平湯側からは1983(昭和58)年に開始された。
1989(平成元)年8月に安房峠道路が中部縦貫自動車道に格上げされ、同年10月には調査坑掘削終了を待たずに本坑掘削が開始された。更に、1998(平成10)年の長野オリンピックが決定したことで、それまでの完成が求められた。
1995(平成7)年2月には火山性ガスを含む水蒸気爆発事故で4人の殉職者を出しながらも、2ヶ月後には二本の本坑は遂に貫通し、調査開始より33年、着工より17年後の1997(平成9)年12月6日にトンネルは供用を開始した。工事には860億円が投じられたとされている。
本坑掘削の前に、調査坑が掘られている。これに更に、水抜坑が何重にも掘られている。
現在の本坑からこれらを観ることは出来ないが、湧水つまり温泉は今もなお水抜坑によって抜かれていて、水没を防いでいる。また工事に大きな支障を来したこの湧水も、今ではその熱を利用して路面を温め、凍結を防止するために有効に利用されている。
難工事であったが、この道路開通のお蔭で、かつて安房峠越えに車で1時間以上(酷い時には6時間以上)は掛かったところを、このトンネルのお蔭で中ノ湯〜平湯間が僅か5分程度で交通可能となったのである。全く別次元といえる。プロジェクトXの世界であろう。
しかし、その価格の高さ(普通車で750円)もあってか、利用者は決して多いとはいえない。
- 手前のバイパス: 松本波田道路 (現道経由、途中区間は路線計画中)
- 後続のバイパス: 高山清見道路 (現道経由、途中区間は路線計画中)
- 国道41号
- 国道472号(国道158号との重複区間)
道の駅はない。
橋はない。
- 安房トンネル (岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯〜長野県松本市安曇) 安房峠
特になし。
- 長野県
- 松本市
- 岐阜県
- 高山市
具体的なIC等は次のとおり。なお現時点ではIC番号はない。
- 中の湯 (国道158(現道))
- 平湯IC (国道158(現道)、国道471号)
用語の所属
中部縦貫自動車道
国道158号
関連する用語
松本波田道路
高山清見道路