VOCALOID3
読み:ボーカロイド-スリー
外語:VOCALOID3

 ヤマハの開発した音声合成エンジンVOCALOIDの第三版。2011(平成23)年10月21日発売。
目次

概要
 VOCALOID(1)、VOCALOID2と同様、人間の声の録音をデータベースとし、このデータを加工することで合成音声で歌声を実現させるシステムである。
 楽器メーカーのヤマハらしく、「喋らせる」のではなく「歌わせる」ことを前提に開発されたシステムである。
 VOCALOID2までと異なり、3では、楽曲制作ソフトウェア「VOCALOID3 Editor」と、歌声ライブラリは、分離して販売される。また、両者をセットにした「Starter Pack」も幾つか用意されている。

特徴

音声とEditorは別売
 VOCALOID2では、歌声ライブラリに楽曲制作ソフトウェアがバンドルされて販売されていた。
 複数の音声ライブラリを購入すると、その全部に同じソフトウェアがバンドルされていることになり、またそれぞれでソフト代を支払っていることになり、高く付くという難点があった。
 VOCALOID3では、このような利用方法に対応するために、楽曲制作ソフトウェア「VOCALOID3 Editor」と、歌声ライブラリを別売することになった。
 ただし、音声ライブラリにも、簡易版の「Tiny VOCALOID3 Editor」が添付され、簡単に歌わせることは可能である。

Starter Pack
 VOCALOID3登場当初は、楽曲制作ソフトウェア「VOCALOID3 Editor」と歌声ライブラリをセットにした製品としてStarter Packが用意されていた。
 日本向け製品でも、初期に登場した全製品に、このStarter Packが用意されていた。
 現在は全製品についてStarter Packは生産を終了しており、別売のEditorを用意する必要がある。これは、現在Editorは複数あり、選択できるため需要が低減したためと思われる。

組み合わせ方
 本格的に使うには、つぎの何れかの組み合わせが必要である。
  1. 任意の音声ライブラリ + VOCALOID3 Editor
  2. 任意の音声ライブラリ + VOCALOID Editor for Cubase NEO + Cubase 7

ソフトウェア

楽曲制作ソフトウェア

エンジン
 音声データから歌声を作り出す技術が「VOCALOIDエンジン」であり、これはヤマハから提供される。
 ヤマハが提供する「VOCALOID3 Editor」に搭載されている。
 VOCALOIDエンジン含むこのVOCALOIDのシステムは、VOCALOID2まではWindows用のみで、VOCALOID3も当初はそうだった。
 後に、ヤマハの子会社スタインバーグ製DAWソフト「Cubase 7」用のアドオンソフトとして「VOCALOID Editor for Cubase」が登場し、このWindows/OS X両対応バージョンとして「VOCALOID Editor for Cubase NEO」が登場した。

VOCALOID3 Editor
 音声ライブラリには、標準で「Tiny VOCALOID3 Editor」が添付されているが、これは、VOCALOID3 Editorの機能を制限したWindows専用のソフトウェアである。
 別途「VOCALOID3 Editor」という全機能が実装されたソフトウェアが用意されている。本格的な曲を作る場合にはこのソフトウェアが必要である。
 VOCALOID3 Editorは、これまでのEditorの問題点を改良している。

VOCALOID Editor for Cubase NEO
 通常の「VOCALOID3 Editor」の代わりに使うもので、DAWである「Cubase 7」に対応するVOCALOID Editorである。
 別途「Cubase 7」を購入する必要があるが、このソフトウェアはWindows用のほかにOS X用も用意されているため、MacでもVOCALOIDを使用した作品作りが可能となる。
 具体的には、「Cubase 7」と「VOCALOID Editor for Cubase NEO」と「歌声ライブラリ」の3つを揃えることで、WindowsでもMacでも歌わせることが可能ということである。

音声データの技術

TRIPHONE
 VOCALOID2では「母音+子音」「子音+母音」と2つの音素を連続させたDIPHONE(ダイフォン)と呼ばれる音素情報を持っている。
 VOCALOID3では更なる歌声の滑らかさを目指し「母音+子音+母音」と3つの音素を連続させたTRIPHONE(トライフォン)と呼ばれる音素情報を持つことが可能となった。TRIPHONEは量が多く全てを収録するとなると、録音の手間、編集量、データ量などが膨大となるため、歌声ライブラリ製作者が選択可能となっている。

VOCALOID2からの移行
 VOCALOID2用ライブラリも専用ツールでインポートし、VOCALOID3 Editorで編集できる。
 元がVOCALOID2用ライブラリなので、このデータをインポートしてもDIPHONE(ダイフォン)止まりでありTRIPHONE(トライフォン)の情報は存在しないが、VOCALOID3で歌わせるとVOCALOID2より良い結果になることが多い。

補足

多言語対応
 従来の日本語と英語に加え、中文、朝鮮語、スペイン語に対応した。
 VOCALOID2では、初音ミクなどに強引に支那語を歌わせるような作品もあったが、恐らく発音はかなり問題があったものと思われる。VOCALOID3では、(対応する音声ライブラリがあればという前提だが)発音が難しい言語にも対応できる。

SE(SecondEdition)とJob Plugin
 リニューアル製品には、商品名に「SE」(SecondEdition)が付けられている。
 製造終了と共に新発売されたSE版は、22種類のヤマハ製のVOCALOID3 Job Pluginが追加されている。
 従来のVSTプラグインは合成後の音声に対するエフェクト処理を実施するが、Job Pluginは入力されたVSQデータに対して処理を行なう機能である。
 ヤマハから無料で提供されるもののほか、ユーザー自身が作ることもできる。

歌声ライブラリ

沿革
 詳細は後述。日付は原則として現地時間。非売品除く。

製品一覧
 数が多いため、名前だけを掲載する。詳細は後述することがある。

製品詳細
 各製品ごとに様々なものがリリースされている。Starter Pack以外で分かる範囲を記載する。

日本語
 価格はメーカー希望小売価格で、発売当初のもの。

ヤマハ
 企画・制作すべてヤマハのもののみ。他社企画品は後述。

インターネット

AH-Software(AHS)

ディアステージ

1st PLACE
 2014(平成26)年6月27日のIA ROCKS発売にあわせて従来製品と込みになった「IA -DUO PACKAGE-」と、同スターターパックが用意された。

i-style project

EXIT TUNES

クリプトン・フューチャー・メディア

ウィーヴ

マクネナナプロジェクト

英語

PowerFX
 PowerFXとVocaToneにより開発され、2011(平成23)年12月21日にPowerFXからリリースされた。

インターネット

Zero-G
 日本では、従来通り、クリプトンが代行業者となり、ダウンロード販売にて販売中である。

クリプトン・フューチャー・メディア

朝鮮語
 企画・製造・販売はSBS ARTECH Co,. Ltd.で、日本での輸入元はヤマハ。
 但し既に製造と販売は終了している。

スペイン語
 Voctro Labsから男女がリリースされている

中文

発売予定

ヤマハ

その他の既製品等

再検索