SCMS
読み:エススィーエムエス
外語:SCMS: Serial Copy Management System
ミニディスク(MD)やDATを始めとするディジタル録再装置で、民生機には必ず付随するディジタルコピー防止規格。
概要
ディジタル音声はアナログ音声と異なり、何度ダビングしても音質が劣化しないため永久に音質変化無く複製が可能である(らしい)。
もちろんそんなわけは無く、MDにせよDATにせよ、非可逆圧縮であるので、音質劣化は存在する。しかし、劣化しないんだと主張する人がいたらしい。そして、ディジタルのマスター(CD等)が一つあれば、いくらでも複製が作られてしまう危険がある(らしい)。
そこで、ディジタル録再装置で、いかにして複製を阻止するかに心血が注がれた。その成果の一つがSCMSだった。
特徴
保護
民生機では、ディジタル出力にS/PDIFの光ファイバーを用いている。
このデータフォーマット中に「保護されているか否か」「オリジナルかコピーか」の情報が用意されている。
CDなどを再生した場合は「オリジナル」で、それを録音したものを再生した場合は「コピー」の情報が付く。
そして、保護されている場合は1世代だけ録音(子コピー)を可能にし、それからの複製録音(孫コピー)は不可能にするように制限を掛けている。
手法
複製阻止の具体的な方法は、2種類ある情報を組み合わせ、条件を満たしたら録音できなくする、というものである。
「オリジナル」は録音を許すが、「コピー」の場合、保護されているか否かを確認する。そして「保護されているコピー」に関しては、ディジタルではダビングできないようにする。
アナログ
この規格でのコピー制限が適用されるのはディジタル同士での複製の時のみで、アナログの場合には適用されない。従って、アナログとして出力すれば、音質は劣化するが、孫コピーなどが可能である。
但し、著作権が不明なアナログ録音の場合、「保護されたオリジナル」扱いで録音されるため、その録音は、やはり一回しかディジタルでダビングできない。
つまり、CDなどからの複製に限らず、自分で生録したものでも適用されるため、生録マニアやバンド系には大変不評である。
その後
このような理不尽な規制を続けた結果、CDは順調に売上を減らし、ラジオ体操のCDアルバムがオリコン上位に君臨するような時代となった。
また、CDからのコピーについては、パソコンを使えば簡単に可能な時代となり、もはやSCMSなどという規格は存在価値自体なくなっている。
しかし業界はなお諦めきれないらしく、Bluetoothなどの無線通信にも「SCMS-T」と称するSCMS仕様を導入している。
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