青経巻
読み:あおきょうかん

 日蓮系の新興宗教団体である霊友会、およびその分派教団の会員が、日常読経する短い経巻の通称で、霊友会系教団の教典の一つ。
目次

概要
 
 1928(昭和3)年に霊友会の創設者である久保角太郎が編纂した。
 表題は「南無妙法蓮華経 朝夕のおつとめ」である。
 非売品であり、基本的には会員のみが入手できる。名前は紙が青い所から付けられたが、法友之会のように紙が黄色いものもある。

特徴

由来
 それまでお経は漢訳(真読)ばかりで、普通の信者には意味が分からないのが当然で、ただ呪文のように読み下していれば良いとされていた。むしろこの意味不明な点が、有り難い物であるともされていた。
 対して久保角太郎は、仏教はそもそも自分の心を磨き開発する宗教であるはずで、その行のなし方が書かれた経典を意味も分からず唱えるだけでは意味がないとし、誰でも読め、意味が汲み取れるように訓読で作ったのが青経巻だった。

内容
 青経巻の内容は一部経(無量義経妙法蓮華経仏説観普賢菩薩行法経)から重要な部分を抜粋し、在家信者が毎日朝夕に読める程度の分量にまとめたものである。慣れた人なら30分程度で読める分量である。
 そして霊友会は、本来の仏教の教えには無い「先祖供養」を明確に目的に据えていたので、経巻の最初に諸仏諸菩薩の名を連ねた「観請文」と、先祖供養のための「回向唱(えこうしょう)」を、そして最後に「祈願唱」が記されている。


 青経巻に書かれる経は、次の経のそれぞれの抜粋である。

評価など
 こうして作られた青経巻ゆえに、勝手に経を抜粋したり付け加えたり、あまつさえ仏教の教えにはない先祖供養などを加えるとは邪(よこしま)極まりないと他宗派からは(当然だが)厳しく批判されることになる。しかし、基本的な在家主義仏教は、この青経巻の登場によって基礎が固まったとされている。
 青経巻はあくまで抜粋なので、これを読むだけでは法華経の教えの全てを知ることは無理である。青経巻は法華経への入口であるといえ、青経巻の次に読むべきはむろん法華経の全文である。それと同時に青経巻は長大な法華経から重要な部位が厳選凝縮されているので、こうして法華経を熟知した者が日々読経するのにも愛用されているのである。

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