国字 (和製漢字)
読み:こくじ

 漢字に似るが、それが支那大陸ではなく日本で作られた字であるもの。和製漢字。
目次

概要
 日本で漢字が普及してから、日本では独自の文字も作られるようになった。これが国字で、現在では漢字と変わらぬ扱いで用いられており、日常においては漢字と国字は区別されていない。
 広義で国字とは、日本国内で使われる字を指すが、狭義では、このような独自の和製漢字をいう。
 その由来により、国字には原則として日本独自の訓読みしかないが、熟語を作るには音読みが必要になるため一部には例外もあり、「働」のように旁にした文字の漢字音を取って音読みとするものもある。

国字

主な文字
 その総字数については定かではない。和製漢字の辞典では、親字番号が1から2669までが存在する。
 日常でもよく使う代表例としては、次のような字がある。訓読みの送りがなは‐に続けて記載する。
国字訓読み音読み注釈
番号
2473いわし 弱い
1645えび老人の背のように曲がっている
1732かみしも上下を同じ布で作る衣
143こがらし木を吹き枯らす風、几+木
1933こ‐む 
850さかき神に供える木
875
1348ささ 
817しきび、しきみ仏壇に供える木
1897しつけ身だしなみの美しさ
749セン 
141たこ 
2486たらセツ雪の季節が旬の魚
1934つじ 
446とうげ山を上下する道であるため
142なぎ、な‐ぐ風が止む、几+止
168にお‐い 
1127はたけ焼畑を意味する火田から
80はたら‐くドウ人が動く
麿2639まろ麻と呂を合わせてマロ
776わく 
 日本の伝統や、独自の文化に関する文字が多く作られている。日本が近代化を遂げた際に作られた字も多い。
 また、日本が海洋国であったこともあって、魚偏の漢字として知られる字もかなりの量が国字であると考えられている。

疑わしい文字
 次の字については、国字とする説は強いが、異論もある。いずれも康熙字典には存在しない。

国字ではない文字
 次の字を国字とする説があるが、誤りとする説が強いもの。

特徴

利用範囲
 地名などにも多くあり、日本国内でもごくごく限られた地域で使われている字が存在する。
 そうではない字についても、基本的には日本国内で使われているが、朝鮮併合期に近代文明が朝鮮に伝えられたことから、科学などの分野を中心として朝鮮でも使われている。
 また台湾や支那でも、近代文明に関する語について日本語を参考に翻訳をしたことから、一部の字については逆輸入して用いている。人名の場合も、そのまま使うこともあれば、似たような字に置き換えて表わすこともある。

地名
 日本の地名として用いられている国字で、著名なものは次の通り(順不同)。

地域限定
 地名ではないが、その文字に想いを込めて用いている国字で、著名なものは次の通り(順不同)。

単位など
 メートル法や国際単位系に対応する字は、国字であるとされる。
 μgとμLの国字については、理論上予測されるが、使用実績がない。μLに対応する字「〓」は、同形の文字が支那や朝鮮には存在する。
 dmの「粉」は、大字典が「佛國の尺度、デシメートルDecimetre即ち一米の十分の一の義とす。此は粉を訓義せず別に我國にて作りし字」とする。

その他
 JIS漢字表には、規格策定において誤字したものがそのまま収録されており、これもある意味で「国字」であると考えられる。
 その殆どの字は使われておらず「幽霊文字」と呼ばれているが、一部には普及してしまったものもある。

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