内裏雛
読み:だいりびな

 雛段飾りの人形で、天皇皇后の姿を模して作られた一対の雛人形をいう。
目次

雛壇について

歴史
 雛壇の人形というのは、それほど歴史は長くない。
 元々、雛壇に人形を飾る切っ掛けとなったのは、江戸時代の初めに徳川家康の孫娘で後水尾天皇の中宮だった徳川和子(東福門院)が、女帝・明正天皇に即位した娘の興子内親王の幸せを祈り(皇統の万世一系を守るため、女帝は結婚が出来ない)作られた座り雛が、起源だとされている。
 つまり元々は、雛人形のうち女雛が実は天皇であり、男雛は現実には存在しなかった女帝の夫、つまり皇婿殿下を意味したわけである。

雛人形の位置
 雛人形は、雛壇の一番上に置かれる。内裏雛はその段のうちで一番上に置かれる。
 この時、男雛と女雛を左右どちらに配するかが問題となる。
 最近では、男雛が向かって左、女雛は向かって右に置かれることが多いが、昔は、そして今も関西では、女雛は向かって左、男雛が向かって右に置かれる。
 雛壇の向かって左側に橘の花、右側に桜の花が飾られるが、これは実際に内裏(御所)に植えられてた木を模したものである。この位置は、内裏の中心である紫宸殿から南を向いて、左に桜、右に橘が植えられていたことから、雛人形からもそのように見えるように、こう配置する。

雛人形の左右
 左右どちらに置くのが正しいのか、という問題は、左右でどちらが偉いのか、という問題とイコールである。

歴史
 昔の日本では左上位であったので、昔は、そして今も、左(向かって右)に天皇(男雛)、右(向かって左)に皇后(女雛)を配した。

関東式
 関東ではその逆に飾るのが一般的である。
 大正天皇昭和天皇は即位式の際、西洋式に右上位で、つまり天皇は右(向かって左)、皇后が左(向かって右)に並ばれた。
 関東では、これを模して、男雛を向かって左に置くようになった。
 ちなみに、皇居の一般参賀において、長和殿にお出ましになる両陛下は、やはり西洋式の右上位で、右(向かって左)に天皇陛下、左(向かって右)に皇后陛下が立たれている。

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