xDSL
読み:エックス-ディーエスエル
外語:xDSL: x Digital Subscriber Line

 通常の電話回線ケーブル(銅線)を利用して数Mbpsクラスの高速通信を実現させる技術の総称。
目次

概要
 従来の音声通話(3.4kHz)では使われていなかった高周波数域の30kHz程度〜1MHz帯(あるいはそれ以上の周波数帯)を用いて変調を行なうことで、広帯域を確保してディジタル通信を行なう。これにより、従来のアナログモデムISDNと比べて大幅な高速通信を実現した。
 ただし、音声用の品質のケーブルをそのまま用いるという都合から、伝送距離は2km〜5km程度の範囲に制限される。表示上の実行速度が実現できるのは多くの規格で2km程度までで、5km程度まで行くと速度は一気に1/10程度に低下してしまう問題がある。

特徴

xDSLの種類
 xDSLには数種のバリエーションが存在しており、ユーザーからの送信速度とユーザーの受信速度が同一の対称型と、不一致の非対称型に大きく分けられる。
 非対称のものにADSLVDSL、対称のものにSDSLHDSLなどがある。

周波数
 VDSLは、使い方により周波数帯の下限が変わる。
周波数帯VDSLADSL 1.5MADSL 8MADSL 24MADSL 48M
26kHz‐138kHz上り上り上り上り
138kHz‐552kHz下り下り下り下り
552kHz‐1.1MHz下り下り下り
1.1MHz‐2.2MHz下り下り下り
2.2MHz‐3.75MHz下り下り
3.75MHz‐5.2MHz上り
5.2MHz‐8.5MHz下り
8.5MHz‐12.0MHz上り

展開

アメリカの場合
 電話回線ケーブルがそのまま使えるということから、アメリカ合衆国ではISDNより電話会社の負担が少なく、ISDNに代わって普及した。
 ただし、アメリカの場合はCATVを利用した高速回線も多く、競争は厳しいようである。

日本の場合
 日本でもxDSLの普及が(特にADSL)期待されていたが、NTT光ファイバー通信とISDNばかりを優遇し、繋ぎの技術としてのxDSLを軽視ないし無視した。
 しかし、光ファイバー回線が全国津々浦々に敷設されるのはそれなりの先の話なので、当然その隙間を狙ったxDSL事業者が登場し、NTTに対して電話回線を使わせてもらえるよう要求してきた。
 日本のISDNはピンポン伝送方式と呼ばれる特殊仕様である。これが、xDSLで利用する周波数帯域と被っていたためNTTとしてはxDSLの登場はある意味厄介ごとであった。そのためNTTはxDSLのサービス実現は不可能だと突っぱね続けたが、その対応に各方面から猛抗議を受けることになった。
 そのため、NTTはISDNとADSLの干渉に対する評価実験などを行ない、ADSLのバリエーションのひとつであるITU-T G.992 Annex Cを提案し、それによりようやく日本でもADSL等が普及していくことになる。
 2000(平成12)年末にはNTT地域会社自体もADSL事業に参入している。

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