Ethernet
読み:イーサネット
外語:Ethernet
LAN
の代表的な接続方式。
OSI参照モデル
で
レイヤー2
(
データリンク層
)にあたる。
目次
歴史
特徴
仕様
速度
フレーム構造
ループ
問題点
解決方法
ループ活用技術
分類
通信帯域による分類
伝送線による分類
伝送距離による分類
歴史
1976(昭和51)年に米Xerox社のパロアルト研究所(
PARC
: Palo Alto)で開発されたネットワークシステムで、3Mbpsの速度があった。
1980(昭和55)年にDEC、Intel、XeroxによりEthernet V1.0仕様が策定される。これを元としてIEEE 802.3が標準化された。
このIEEEとは別に、1982(昭和57)年にはEthernet V2.0(Ethernet II)として10Mbpsの仕様が策定された。
Ethernetは米国ゼロックス社の
登録商標
である。ちなみに
イーサ
の語源は、光の媒質であると考えられていたether(日本語読みで
エーテル
)から取られている。
特徴
仕様
IEEE 802.3
と
Ethernet II
は似ているが差があり、どちらもEthernetと呼ばれながら、相互の通信は出来ないというややこしい問題がある。
現在パソコンなどで使われている有線LANで主流なのは、このうちDEC、Intel、XeroxによるEthernet II(通称DIX仕様)である。対して、
無線LAN
で使われているのはIEEE 802.3である。
元々
TCP/IP
ネットワークとは別物であったが、両者の技術を組み合わせることでUNIXを中心として構築されたLANから
ARPANET
に接続可能となった。これは
IP over Ethernet
というが、この呼称はあまり一般的でない。
速度
普及が始まった当初の転送レートは10Mbpsで、これは当時としては非常に高速であった。
後に、FAST ETHERNETと呼ばれる100Mbpsのもの、GIGABIT ETHERNET(
GbE
)と呼ばれる1Gbps、
10GbE
と呼ばれる10Gbps以上や、それ以上の帯域の規格も作られている。
データセンターやバックボーン用として、
IEEE 802.3ba
(40GbEおよび
100GbE
)があり、さらに2017(平成29)年ごろを目標に400GbEを実現する旨が発表されている。
フレーム構造
EthernetとIEEE 802.3のフレーム構造は似ているが、一部に決定的な差異がある。
どちらもデータは46〜1500オクテットで同じだが、その前には先頭から、プリアンブル、
SFD
、宛先(DA)、送信元(SA)があり、データの直前に2オクテットの値が付く。この値がEthernetとIEEE 802.3の大きな違いとなっている。
またデータの後にはFCSや拡張領域などが付けられる。
プリアンブル
7オクテット以上0と1が交互に並ぶ。
SFD
(Start Frame Delimiter)
フレーム開始デリミター。フレームの開始を表わす1オクテット。常に10101011
宛先/送信元
いわゆる
MACアドレス
※
Ethernetでは
EtherType
で、プロトコルを表わす番号。IEEE 802.3ではデータ長(46〜1500)
FCS
CRC
PAD
フレーム長が64オクテット未満の場合、MAC副層でFCSの直前に付加される。値は不定。
Carrier Extension
ギガビットEthernetで使われる。
ループ
問題点
レイヤー3の
IPヘッダー
内にはTTLという生存時間の情報が存在する他、経路選択の機能があるため、ループを構成しても問題は回避される。
しかし、レイヤー2のEthernetフレームヘッダーには生存時間に該当する情報がないため、宛先に到達出来ないフレームは、いつまでも消滅しない。何の対策も無い状態で誤ってネットワークをループ構成にしてしまうと、
ブロードキャストストーム
が発生しネットワークはダウンする。
そこで、この解決のために様々な技術が開発されてきた。
解決方法
Ethernetフレームヘッダーの仕様は変えられないので、HUBの改良や、スイッチの改良によって、この対策が取られてきた。
HUB
ループ検知機能付きのHUBの利用
スイッチ
スパニングツリー
TRILL (TRansparent Interconnects of Lots of Links)
OpenFlow
近年は、ループ検知機能付きのスイッチングHUBも安価に市販されている。その技術や手法は定かでは無いが、ループが検知された場合は当該ポートを無効化することが可能である。
スパニングツリーは長く使われてきたが、この場合コスト等価なパスがなく、全体として最適経路での通信が保証されないばかりか、マルチパスでのロードバランスも不可能である。
そこで、新たにTRILLやOpenFlowという技術が登場してきた。これらの技術は、生じたループを逆に有効活用する機能を有しており、以前のEthernetとは別の世界となっている。ループが回避できないかつてのEthernetは「従来型Ethernet」などと呼ばれている。
ループ活用技術
TRILLでは、ループ構成が生じた場合は自動的に最適経路を選択したり、複数の経路を統合したりする機能、経路障害時の迂回機能などを持っている。スイッチを対応品に交換するだけで機能が利用できるメリットがある。
OpenFlowは、ネットワークの制御ルールは手動設定となるが、負荷分散、複数経路のアグリゲーションといった、ループやメッシュ構造を活用した機能が利用できるようになる。
分類
通信帯域による分類
1Mbps
1BASE5
10Mbps
10BASE5
(
IEEE 802.3
)
10BASE2
(IEEE 802.3a)
10BROAD36
10BASE-T
(IEEE 802.3i)
FOIRL
10BASE-F
(IEEE 802.3j)
10BASE-FL
10BASE-FB
10BASE-FP
100Mbps
100BASE-TX
(
IEEE 802.3u
)
100BASE-T4
(IEEE 802.3u)
100BASE-T2
(IEEE 802.3y)
100BASE-FX
(IEEE 802.3u)
1000Mbps(1Gbps) (
GbE
)
1000BASE-CX
(IEEE 802.3z)
1000BASE-LX
(IEEE 802.3z)
1000BASE-SX
(IEEE 802.3z)
1000BASE-LH
1000BASE-T
(IEEE 802.3ab)
約9.294Gbps
10GBASE-Wファミリー
(
IEEE 802.3ae
)
10GBASE-SW
10GBASE-LW
10GBASE-EW
10Gbps (
10GbE
)
10GBASE-Xファミリー
(
IEEE 802.3ae
)
10GBASE-LX4
10GBASE-Rファミリー
(
IEEE 802.3ae
)
10GBASE-SR
10GBASE-LR
10GBASE-ER
10GBASE-T
40Gbps (40GbE)
40GBASEファミリー (
IEEE 802.3ba
)
40GBASE-KR4
40GBASE-CR4
40GBASE-SR4
40GBASE-LR4
100Gbps (
100GbE
)
100GBASEファミリー (
IEEE 802.3ba
)
100GBASE-CR10
100GBASE-SR10
100GBASE-LR4
100GBASE-ER4
伝送線による分類
同軸ケーブル
10BASE5
10BASE2
1000BASE-CX
UTP
1BASE5
10BASE-T
100BASE-TX
100BASE-T4
100BASE-T2
1000BASE-T
STP
10GBASE-T
光ファイバー
10BASE-FL
10BASE-FP
10BASE-FB
100BASE-FX
1000BASE-SX
1000BASE-LX
1000BASE-LH
10GBASE-Wファミリー
10GBASE-Xファミリー
10GBASE-Rファミリー
IEEE 802.3ba
40GBASEファミリー
100GBASEファミリー
伝送距離による分類
1m
40GBASE-KR4
7m
40GBASE-CR4
100GBASE-CR10
25m
1000BASE-CX
100m
10BASE-T
100BASE-TX
100BASE-T4
100BASE-T2
1000BASE-T
10GBASE-T
40GBASE-SR4
100GBASE-SR10
185m
10BASE2
300m
10GBASE-S
500m
1BASE5
10BASE5
10BASE-FP
550m
1000BASE-SX
2000m(2km)
10BASE-FL
10BASE-FB
100BASE-FX
(半二重では400m)
3600m(3.6km)
10BROAD36
5000m(5km)
1000BASE-LX
10000m(10km)
10GBASE-L
10GBASE-LX4
40GBASE-LR4
100GBASE-LR4
40000m(40km)
10GBASE-E
100GBASE-ER4
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