番号ポータビリティ (携帯電話)
読み:ばんごうポータビリティ
外語:MNP: Mobile Number Portability

 今使用している電気通信番号(要するに携帯電話電話番号のこと、以下携帯電話番号)を変更せず、利用者が契約する電気通信事業者を変更できるようにすること。
目次

概要

番号
 日本の携帯電話番号は、事業者ごとに「範囲」が割り振られ、その中で重複しないように事業者が各契約者に割り振る。
 具体的には、090-CDEF-GHJK(英字は任意の数値、但しC≠0)という番号のうち、090-CDEまでの範囲が事業者に渡され、事業者はFGHJKの範囲で番号を割り振る。
 従って、事業者を変える(例: au→NTTドコモ)と、同じ電話番号を使うことはできなかった。

改善
 携帯電話はその様々な特徴から、番号が頻繁に変わると不便であるとされている。従って一度契約した携帯電話のキャリアから他のキャリアへ移りにくいという状況を作り出したと言われている。
 これは、自由競争上も問題であるとされ、かつ利用者にとっても不便であることから、改善が求められることになる。
 しかし、現行の方法(事業者に大雑把に番号を割り振る)を止めるというのは技術的に不可能で、またキリのいい番号などに要求が集中すると収拾が付かなくなる。そこで、番号ポータビリティということになった。

沿革
 今後の予定

手続きの方法
 手続きは簡単である。
  1. 現在利用中の携帯電話会社で手続きをし、予約番号を得る。
  2. 乗り換え希望先の携帯電話会社(または扱いのショップ)に予約番号を渡す。

技術

番号変更
 このシステムでは、番号を管理するのは、従来通り総務省から番号を得た事業者であり、これは変更はない。この元の事業者を事業者Aとする。
 そしてMNPによって、携帯電話利用者は番号そのまま他の事業者Bに乗り換えができる。
 さて、利用者から見れば、単に電話番号をA社からB社に移すだけの単純なものにしか見えないが、実際はそう簡単ではない。

回線の接続
 例えば従来なら、090-10ならNTTドコモ、のように、頭数桁で電話会社が分かったので、このルールで回線を接続すれば然程難しい作業ではなかった。
 しかし番号から電話会社が特定できなくなると、そうはいかない。番号ごとに電話会社が異なってくるので、接続する都度に電話会社を特定しないといけなくなるのである。
 その上現在の電話回線は大変複雑で、次のようなものが渾然として繋がっている。
 また、電話回線というのはインターネット回線と違って「安定性」を命とし、新しいシステムの中に、長い運用実績のある古いシステムが混在していて、簡単にはメカニズムを変更できないという事情もある。
 従って、番号にルールがなくなると、どこへ繋げれば良いのかというルールの再設計からやり直さないとならず、非常に難しい。

方式

接続
 番号ポータビリティ後に、その番号へ電話が掛けられた場合、次の方法によって現在契約中の電話会社へ接続を行なう。

転送方式
 転送方式というのは、次のようなルールで接続をする。
  1. 発信元の電話会社 (固定電話、携帯PHS、IP電話等)
  2. 中継する電話会社 (NTT、長距離系電話会社等)
  3. 以前の携帯電話会社
  4. 移行後の携帯電話会社
 移行後の電話会社のデータベースを管理するのは、以前の電話会社である。
 メリットは、現在とあまりシステムを変えずに済む点。
 デメリットは、常に以前の携帯電話会社の回線を経ねばならず、以前の携帯電話会社は収入にならない接続を通さなければならないという点である。

リダイレクション方式
 そこで、将来的には中継を改善し、リダイレクション方式へ移行する予定である。
 リダイレクション方式というのは、次のようなルールで接続をする。
  1. 発信元の電話会社 (固定電話、携帯PHS、IP電話等)
  2. 中継する電話会社 (NTT、長距離系電話会社等)
  3. 移行後の携帯電話会社へ接続
 やはり、移行後の電話会社のデータベースを管理するのは、以前の電話会社である。
 しかし、中継と以前の携帯電話会社のやり取りは番号と電話会社の関連付け情報だけである。
 この時、他社へ移っていた時は、中継はその移行後の携帯電話会社へと接続を行なう。このため無駄なルートを経ずにすむ。
 この方法では経路情報の交換のみで済み、インターネットではDNSなどに相当する簡単な仕組みだけで済むため、それほど費用も掛からない。携帯電話会社は、リダイレクション方式に賛成している。

中継の改善
 NTT地域会社はリダイレクション方式への対応を進めていて、まず最初の頃は転送方式とし、追ってリダイレクション方式へ移行する予定となった。
 中継はNTT以外にもKDDIソフトバンクテレコム、あるいはIP電話などがあるが、これらの対応については現時点では不明。従って、これらの対応(恐らくNTTよりずっと遅くなるだろう)が済むまでは、携帯電話会社は両方の方式に対応することになり、その分の費用は当然、携帯電話利用者にも掛かってくると考えられる。
 尤も、番号ポータビリティで乗り換えてしまった人に元の会社は課金できないし、乗り換えてきてくれた人を割増にもできない。結局は、携帯電話利用者全員で割り勘ということになるのだろう。
 一体誰が得をするのか、現実には不明と言わざるを得ない。

当時の状況

当初
 当初は、FOMA普及のためにNTTドコモが一番熱心だった。auや当時のJ-フォンは逆にNTTドコモにユーザーを取られることを恐れ消極的だった。
 しかしFOMA不振が発覚してからはNTTドコモも消極的になってしまった。
 このため、なかなか実現しなかったが、2006(平成18)年にようやく実現の運びとなったわけである。

au
 携帯電話会社中、最初に手数料を発表したのはauだった。
 但し当時、ツーカーからauへの移行は従来通り無料であった。
 番号乗り換えは事実上解約に等しいため、年間契約などを利用している場合は、別途解除料が必要となる場合もある。
 また、2006(平成18)年10月24日開始に先立ち、9月1日より「新規加入仮予約サービス」で乗り換えを予約できる。
 auは、10月24日〜11月30日の間に新規契約した人には、auポイント1000ポイント(2,000円相当)をプレゼントするとし、その後も紹介による新たなポイント還元が続けられた。

NTTドコモ
 2006(平成18)年8月29日にNTTドコモも価格を発表した。
 番号乗り換えは事実上解約に等しいため、年間契約などを利用している場合は、別途解除料が必要となる場合もある。
 また、9月10日〜10月23日までキャンペーンを実施し、期間中に予約して12月31日までにNTTドコモに転入手続きを行なうと、ドコモポイントが2000ポイント(2,000円相当)がプレゼントされた。

ソフトバンクモバイル(旧Vodafone)
 2006(平成18)年8月31日にVodafone(後のソフトバンクモバイル)も価格を発表した。
 番号乗り換えは事実上解約に等しいため、年間契約などを利用している場合は、別途解除料が必要となる場合もある。
 また開始に先立ち、9月1日より「MNPプレキャンペーン」で乗り換えを予約できた。
 ソフトバンクモバイル(9月時点ではVodafone)では、9月1日〜10月23日の間に新規契約者には、ソフトバンクマイレージサービス(9月時点ではボーダフォンマイレージサービス)1000ポイント(2,000円相当)がプレゼントされた。

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