暗号
読み:あんごう
外語:code

 何らかの手段を用い、復元できる方法で、第三者に分からなくする方法。
目次

目的
 暗号化は、セキュリティのうち機密性を提供する。他に、方式によっては認証、完全性否認防止を保証するものもある。
 なお、アルゴリズムを隠蔽するより公開し、多くの数学者などによってクラックの試みをしてもらい、実際に強度があるアルゴリズムであることを確認する方法が良く行なわれる。実際、アルゴリズムを隠蔽した暗号は不備が多く、早期にクラックされる傾向にある。

特徴
 暗号の歴史は長く、単純なものから複雑なものまで多岐にわたる。
 大雑把には、次のように分類できる。

主な実装
 コンピューター用の主要な暗号は次の通り(順不同)。
 用途により「暗号」と「ディジタル署名」とがある。

暗号

ディジタル署名

安全性

暗号解読

序論
 暗号は、必ず攻撃に晒される。政治的や軍事的に電文を解読する理由がある場合のほか、趣味でする者もいる。
 その暗号が大々的に採用されたなら、それに挑む者も大勢となる。
 これは悪意をもってなされるだけではなく、暗号の持つ問題点の研究などにもより、これによって暗号は進化してきた。

解読
 暗号は、暗号である以上、いつかは復号されて元に戻らねばならない。従って、どのような難しいアルゴリズムであっても、鍵の全数探索を行なえば、必ずいつかは解かれるものである。
 それが、現在のコンピューターで理論上数万年掛かるとしても、必要な時間が非現実的というだけであり、いつかは第三者により解かれる可能性があることに違いはない。

効率的な解読
 全数検索でもいつかは解読可能だが、それはあまり評価されない。
 全数検索よりも(例え僅かでも)高速に解読可能な方法を発見した場合、それは「暗号を解読した」として評価される。
 つまり、暗号を設計する段階(これは暗号学という学問)で、全数検索をするのに200世紀必要、とされたとして、実際に解読するのに199世紀で済む方法を発見したとしたなら、それは「暗号を解読した」ことになるのである。

危険性の評価
 解読される可能性が僅かに増えるという点では、内在する危険性が増えることは事実である。
 しかし、暗号解読の方法が発見されたからといって、直にその暗号が使い物にならなくなるわけではない。上述の例のように、それに要する時間が非現実的であったなら、それ自体はそれほどの驚異ではないからである。
 しかし、その解読に要する時間が現実的なものとなった時、遂にその暗号は「暗号としての強度が不十分」なものとなり、現役を退かねばならなくなる。

攻撃方法
 攻撃方法については「アタック」を参照。

登録暗号

登録
 かつては、ISO/IEC JTC 1(合同専門委員会1)は、暗号の標準化は行なわず、種類ごとに登録制を取る方針でいた。
 暗号の番号はISO/IEC 9979で、該当する国内標準はJIS X 5060であるが、この規格は番号を与えるだけで、その暗号の強度等については一切の評価をしていない。
 現在では、その方針変更に伴い暗号の標準化も行なわれていて、ISO/IEC 18033が存在する。これ以降、ISO/IEC 9979に番号登録をしているのは日本の暗号だけである。

登録番号
 ISO/IEC 9979の登録番号は次のとおり。
番号アルゴリズム名登録者名国名登録日暗号の種類公開/非公開
1B-CRYPTBT Development & Procurement英国1992(平成4)年8月19日 非公開
2IDEAAscom Tech Ltd.スイス1993(平成5)年5月10日ブロック暗号公開
3LUCLUC EncryptionTechnology Ltd.ニュージーランド1994(平成6)年7月29日公開鍵暗号公開
4DESNational Communications System NT米国1994(平成6)年9月5日ブロック暗号公開
5CDMFIBM Corporation米国1994(平成6)年10月29日ブロック暗号公開
6SkipjackNational Security Agency米国1994(平成6)年10月31日ブロック暗号公開
7RC4RSA Data Security Inc.米国1994(平成6)年10月31日ストリーム暗号非公開
8RC2RSA Data Security Inc.米国1994(平成6)年10月31日ブロック暗号公開
9MULTI2株式会社日立製作所日本国1994(平成6)年11月14日ブロック暗号公開
10FEAL日本電信電話株式会社日本国1994(平成6)年11月14日ブロック暗号公開
11BARASETSIフランス1995(平成7)年8月18日  
12SXAL/MBAL株式会社 ローレル インテリジェント システムズ日本国1995(平成7)年10月23日ブロック暗号公開
13MISTY1三菱電機株式会社日本国1996(平成8)年11月27日ブロック暗号公開
14ENCRiP日本電気株式会社日本国1997(平成9)年2月12日ブロック暗号非公開
15ACRSAGEM SAフランス1997(平成9)年5月8日  
16FWZ1Check Point Software Technologies Ltd.イスラエル1997(平成9)年6月17日  
17SPEAM1パナソニック株式会社日本国1997(平成9)年12月5日ブロック暗号非公開
18ELCURVE株式会社日立製作所日本国1998(平成10)年5月13日楕円曲線暗号+ブロック暗号公開
19CIPHERUNICORN-E日本電気株式会社日本国1998(平成10)年7月6日ブロック暗号公開
20M8株式会社日立製作所日本国1999(平成11)年3月19日ブロック暗号公開
21GCC株式会社国際情報科学研究所日本国2000(平成12)年1月4日ストリーム暗号非公開
22Triplo株式会社東芝日本国2000(平成12)年4月27日ブロック暗号公開
23FSAngo富士ソフトABC株式会社日本国2000(平成12)年10月9日ストリーム暗号公開
24BLIC株式会社ビー・エス・ワイ日本国2001(平成13)年2月1日ストリーム暗号非公開

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