シリアルATA |
辞書:通信用語の基礎知識 通信技術接続編 (CTIF) |
読み:シリアル-エイティーエイ |
外語:SATA: Serial ATA: Serial AT Attachment |
品詞:名詞 |
旧来のパラレルATAの後継として登場した、パーソナルコンピューターとハードディスクドライブを接続するためのインターフェイスの一つ。
概要 |
用途 |
マザーボードとハードディスクドライブ(HDD)を接続するための技術であり、基本的にはケースの中で使用されるものである。
従来のパラレルATAの後継として使われるようになり、普及した。
時を経て、ハードディスクドライブ(HDD)からSSDへと移行すると、それまでのシリアルATAでは速度が足らなくなり、高速化された後継SATA Expressが登場した。しかしこちらはすぐ廃れ、これを著している時点でSATA Expressを搭載したマザードードなど既になく、代わりに普及しているのがMini PCIeを更に小型化した拡張スロット規格である「M.2」である。
また、SATA Expressと同じコネクターを用い、ホットプラグにも対応するU.2(旧称SFF-8639)を拡張カードとして提供する製品もあり、いずれにせよSSDでシリアルATAは徐々に使われなくなっている。
変更点 |
従来のATA(IDE)は、8または16ビットのパラレル伝送方式を用いていた。
シリアルATAではその名の通り、シリアル伝送方式が採用されているのが最大の特徴である。
パラレルからシリアルに変わったため、物理的な仕様も大きく変更されている。
大昔 |
ATAはまずIDEとして作られたが、この当時はST-506という製品の互換品が主に使われていた。このインターフェイスは、実はシリアルだった。
現在でこそ、シリアルインターフェイスの高速化技術は確立されているが、当時の技術力ではシリアルの高速化にも限界があった。そこで、ST-506のコントローラーICであるWD1003とレジスターレベルで互換性のある、パラレルインターフェイスのIDEが作られたのがパラレルATAの始まりなのである。
変遷 |
時代は流れインターフェイスの高速化は進んだものの、やがてパラレルによる転送速度向上が技術的な上限に達し、更なる高速化が困難となってきた。また、幅の広い邪魔なケーブルによるエアーフローの悪化など色々な問題が出て来るに至り、ATAは再びシリアル化されることになった。
但しシリアルとは言っても、大昔のST-506のものとは、全く無関係である。上位のプロトコルはATAのものを維持し、物理層は最新の技術を導入することになった。
作業部会である「シリアル ATA ワーキング・グループ」が2000(平成12)年2月に発足し、2000(平成12)年11月に最初の版「シリアルATA 1.0」と、今後のロードマップを発表した。
その後「シリアル ATA II ワーキング・グループ」が発足、後にSATA-IO(Serial ATA International Organization)へと改名し、現在に至っている。
パラレルとの差異 |
パラレルATAと、シリアルATAとの差異は、次のようなものがある。
重要なものについては、詳細を後述する。
特徴 |
版 |
仕様書では、バージョン(Version)ではなくリビジョン(Revision)の呼称が使われている。
シリアルATA IIやシリアルATA IIIなどの呼称は通称であり、公式には使われていない。
シリアルATA 1.0 |
シリアルATAの最初の版である。
1.5Gbps(実効速度150Mバイト/秒)の転送速度を実現。
シリアルATA 1.0a |
何らかの改訂が行なわれたようだが、詳細は不明。
シリアルATA 2.0 |
1.0aに対する拡張仕様の通称。正式な仕様化は2.5から。
シリアルATA 2.5 (Serial ATA Revision 2.5) |
SATA 1.0aとSATA 2の拡張仕様を統合した。
シリアルATA 2.6 (Serial ATA Revision 2.6) |
仕様書は、SATA-IO会員なら無料、非会員でも25ドルで提供されている。
シリアルATA 3.0 (Serial ATA Revision 3.0) |
AMDのサウスブリッジSB850にまず搭載され、2010(平成22)年3月3日に発表された。Intelは遅れ、2011(平成23)年の製品から実装する計画としている。
実際に、AMD 890GX/SB850搭載マザーボードや、このマザーボードでの利用が想定されたSATA 3.0対応SSDなども出荷されている。
シリアルATA 3.1 (Serial ATA Revision 3.1) |
シリアルATA 3.2 (Serial ATA Revision 3.2) |
シリアルATA 3.3 (Serial ATA Revision 3.3) |
シリアルATA 3.4 (Serial ATA Revision 3.4) |
接続方法 |
従来のATAは、信号ケーブルに40芯または80芯のフラットケーブルを用いていたが、シリアルATAでは7芯となった。更にケーブル長は従来の18インチ(45.72cm)から1000mmに延長された。
また従来のATAは1本の信号ケーブルに最大2台までドライブが接続できたが、シリアルATAでは1台しか接続できない。つまりマザーボードとドライブは常に1対1で接続される。
このため、従来のようにジャンパーピンなどによるマスター/スレーブの(面倒な)設定は不要となった。
マザーボード上のシリアルATAコネクター
ケーブル・コネクター |
仕様 |
コネクターの形状がパラレルATAから変更されたのは半ば当然であるが、そのコネクター形状の仕様は概ね統一されている。現在は小型規格が登場し3種類の非互換のコネクターがあるが、最初に既定された標準のコネクターが広く使われており、3.5インチHDDと2.5インチHDDで同じケーブルを使用できる。
コネクター自体は二つが1セットになっており、次のコネクターで構成される。
現在は、3種類の大きさのコネクターが規定されている。
シリアルATAでは電源と信号で別々のコネクターとするが、後継のSATA Expressではまとめて1個としたコネクターを使う。
信用号コネクター |
信用号コネクターは7ピンで、平衡伝送でデータを送る。7ピンは、A+/A-/B+/B-と、3本のGND線から構成される。AとBは、それぞれ送信用、受信用として用いられる。
ホットプラグに対応するため、GNDが先に接触する設計となっている。
信号用コネクターのピン配列は、次の通り。
ピン# | 機能 |
---|---|
1 | GND |
2 | A+ (送信用) |
3 | A- (送信用) |
4 | GND |
5 | B- (受信用) |
6 | B+ (受信用) |
7 | GND |
ノッチ側が7番である。
シリアルATA 信号用ケーブル
給電用コネクター |
標準コネクターの配線は次の通り。ホットプラグに対応しており、GNDが先に接触する3段階の接点になっている。(1)(2)(3)の順に繋がり、逆順に外れる。
ピン# | 接続 | 機能(〜3.1) | 機能(3.2〜) | ||
---|---|---|---|---|---|
1 | (3) | 3.3V | 予備 | ||
2 | (3) | ||||
3 | (2) | Power Disable | |||
4 | (1) | GND | |||
5 | (2) | ||||
6 | (2) | ||||
7 | (2) | 5V | |||
8 | (3) | ||||
9 | (3) | ||||
10 | (2) | GND | |||
11 | (3) | スピンアップ | |||
12 | (1) | GND | |||
13 | (2) | 12V | |||
14 | (3) | ||||
15 | (3) |
ノッチ側が1番である。
ハードディスクドライブ(HDD)などを稼働させるため、12Vが供給されるのが特徴となっている。
一方、使われてはいたものの12Vほど重要度が高くなかった3.3V供給はSATA 3.2から廃止された。SATA 3.2以降準拠のHDDの3ピンに従来通り電圧を掛けるとHDDはinactiveとなり、動作を停止する。従って、SATA 3.2より前の電源装置で、SATAに対して3.3Vを供給する電源装置を使う場合は、電源供給を工夫する必要がある。
ノートPCなどの薄型光学ドライブ向けスリムラインコネクターの配線は次の通り。シリアルATA 2.6から仕様が追加された。
ピン# | 機能 |
---|---|
1 | デバイス検出 |
2 | 5V |
3 | |
4 | 製品出荷時診断用 |
5 | GND |
6 |
1番ピンが他より短くなっている。SSD接続が前提であるため、5Vしか供給されておらずハードディスクドライブに必要な12Vを欠くのが特徴である。
1.8インチドライブ向けマイクロコネクターの配線は次の通り。シリアルATA 2.6から仕様が追加された。
ピン# | 機能 |
---|---|
1 | 3.3V |
2 | |
3 | GND |
4 | |
5 | 5V |
6 | |
7 | 予備 |
8 | ベンダー固有 |
9 |
SSD接続が前提であるため、ハードディスクドライブに必要な12Vを欠くのが特徴である。但し、ベンダー固有ピンが2ピンあるため、ここに追加することは不可能ではない。
リンク |
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