モバキャス
読み:モバキャス
携帯端末向けマルチメディア放送サービスの総称。
目次
概要
特徴
沿革
構成
試験放送
対応機器
存在意義
総務省
mmbi
情勢
追加の申請受け付け
終焉
概要
地上デジタルテレビジョン放送
への完全移行に伴い未使用となった
V-High帯
(VHF帯の後半)の一部、207.5MHz〜222MHz帯を利用し、
ISDB-Tmm
方式を用いる放送サービスである。
デジタルに完全移行する2012(平成24)年4月1日からサービスを開始した。
特徴
沿革
2012(平成24)年4月1日: サービス開始
2013(平成25)年12月19日〜2014(平成26)年1月28日: 追加の申請受け付け
2015(平成27)年4月1日: 新たなソフト事業者(認定基幹放送事業者)による放送開始
2015(平成27)年11月27日: サービス終了を発表
今後の予定
2016(平成28)年6月30日: サービス終了予定
構成
インフラを整備するハード事業者(基幹放送局提供事業者)と、具体的な放送サービスを提供するソフト事業者(認定基幹放送事業者)がある。ハード事業者は一社だが、ソフト事業者は複数が参入可能。
モバキャス全体では33の
セグメント
が存在するが、地デジの1チャンネルに相当する13セグメントを用いる大規模事業者はmmbiである。
ハード事業者(基幹放送局提供事業者)
ジャパン・モバイルキャスティング
ソフト事業者(認定基幹放送事業者)
mmbi (番組名「
NOTTV
」)
フジテレビジョン (番組名「フジテレビONE スポーツ・バラエティ」)
フジテレビジョン (番組名「フジテレビTWO ドラマ・アニメ」)
日本映画放送 (番組名「時代劇専門チャンネル」)
AXNジャパン (番組名「AXN 海外ドラマ」)
アニマックスブロードキャスト・ジャパン (番組名「アニマックス」)
スカパー・エンターテイメント (番組名「スカサカ!24時間サッカー専門チャンネル」)
33セグメント中、mmbiのみの頃は20セグメントは余っていた。ここに新たなソフト事業者が追加された。
試験放送
放送開始当初は、東名阪および主要都市から展開し、その後、早期に全国へエリア拡大を図る計画である。
試験電波は、まだアナログ放送が続いている東北を避けて、以下の関東地域で配信された。いずれも対応製品発売前である。
2011(平成23)年12月1日〜 佐原局(千葉県)
2012(平成24)年1月5日〜 東京局(東京都)
2012(平成24)年1月10日〜 横浜局(神奈川県)
対応機器
最初の対応製品は、2012(平成24)年3月23日発売のNTTドコモ用シャープ製
Androidスマートフォン
「SH-06D」だった。
放送開始前に発売されたのは、次の2機種である。
AQUOS PHONE SH-06D (2012(平成24)年3月23日発売)
MEDIAS TAB N-06D (2012(平成24)年3月30日発売)
これ以降に発売されたNTTドコモのスマートフォンでも、対応は全機種ではないが、2015(平成27)年までに発売された機種では対応している機種が多い。
存在意義
総務省
テレビ放送は利権と化した現在、局の偏向や番組のつまらなさから、
テレビ受像機
が売れない時代となってしまった。
そこで総務省は、ハード事業者(基幹放送局提供事業者)とソフト事業者(認定基幹放送事業者)の分離をもくろんだ。既存の放送局は地デジとして温存しながら、あいた電波の枠で新たな事業者の参入に期待した。
しかしこのモバキャスの場合、ハード事業者であるジャパン・モバイルキャスティングはソフト事業者mmbiの子会社であり、実体としては両者は同じとなり、分離は実現しなかった。
mmbi
mmbiの株主は、次の通りである。
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
株式会社フジ・メディア・ホールディングス
スカパーJSAT株式会社
日本テレビ放送網株式会社
株式会社東京放送ホールディングス
株式会社電通
富士通株式会社
日本電気株式会社
パナソニック モバイルコミュニケーションズ株式会社
シャープ株式会社
株式会社東芝
株式会社博報堂
株式会社テレビ朝日
電気興業株式会社
株式会社テレビ東京ホールディングス
株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
伊藤忠商事株式会社
Philippine Long Distance Telephone Company
住友商事株式会社
株式会社ニッポン放送
日テレ/TBS/フジ/テレ朝/テレ東という民放キー局が全て含まれている。
情勢
mmbiの株主構成が何を意味するかというと、総務省に、一度は取り上げられた電波帯域の一部を既得権益が再び押さえることに成功したということである。
「NOTTV」の契約者が全く伸びず赤字であったとしても、既得権益にとっては成功なのである。
むしろ「NOTTV」に面白い番組があると地デジの視聴率が落ちると考えている既得権益は、「NOTTV」に面白い番組を提供する意思はない。
追加の申請受け付け
もちろん天下の総務省が、そのまま黙っているわけはない。ハード事業者は致し方なしとしても、せめてソフト事業者は新たな流れを呼び込みたい。
そこで総務省は2013(平成25)年12月19日〜2014(平成26)年1月28日に新たな申請受け付を実施した。そして、5社から6番組、合計12セグメントの申請があったとされている。
総務省は2015(平成27)年4月より、新たなソフト事業者(認定基幹放送事業者)による放送を開始させた。
終焉
全く面白い番組のない「NOTTV」は順調に低迷し、2015(平成27)年3月末現在の契約者数は175万3851件、2015(平成27)年6月末が163万7804件、2015(平成27)年9月末が154万4142件と、3ヶ月ごとに10万件ずつ契約者数は減少した。
既得利権が帯域を押さえることができなくなったことや、NOTTVは全くふるわず契約者数も増えていないことなどから、NOTTVは終了することとなった。
結果としては、総務省のもくろみは外れテレビのチャンネル数(番組の総数)を増やすことに失敗し、既得利権は利権を維持することに成功した、ということになる。
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