nearポインター
読み:ニアーポインター
外語:near pointer

 x86系プロセッサーの16ビット環境でのプログラミングで使われるポインターの一つ。
目次

概要
 セグメントを使用せず、オフセットのみ16ビットの数値でアドレスを表現する。同一セグメント内でのメモリーアクセスの場合に用いられる。
 即値代入やキャストも可能だが、概ねトラブルの元である。
 実装により様々だが、内部的には16ビット変数のように振る舞うことが多かった。この場合、sizeofすると2という結果が得られるはずである。

特徴

使用例
 MS-DOSWin16Cでは、ポインター変数の定義にあたり、near/far/hugeという3つの予約語が用いられた。
 これらはCの標準仕様には存在しないものであったが、これなくしてプログラミングが出来なかったため、やむを得ず利用された。
 unsigned char near *np;
 unsigned char far *fp;
 unsigned char huge *hp;
 nearポインターは、このうちnearを指定したときに使われるポインターである。
 なお、nearやfarを省略した場合、Cコンパイラーが自動的に判断するので必ずしも指定する必要は無いが、ポインターの種類を決め打ちしたい場合に必要となる。

代入
 nearポインターへのキャストが可能だが、次の例は極めて危険であり動作が保証されない。
 unsigned char near *np;
 unsigned char far *fp;
 np = (unsigned char near*)fp;
 farポインターへの即値代入も可能だが、実装依存である。以下は一例。
 unsigned char near *np;
 np = (unsigned char near *)0x0123;
 この場合、オフセット 0123 というアドレスに対するnearポインターとなる。このポインターを使えば、このアドレスに対して何かを書き込むことができる。
 *np = 0x00;

整数型変数へのキャスト
 nearポインターを整数型変数にキャストすることもできる。
 unsigned char near *np;
 unsigned long l;
 l = (unsigned long)np;
 この場合の動作は実装依存であり、結果については未定義である。オフセットのみを返す場合と、セグメント拡張をする場合とがある。

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