iVDR
読み:アイヴィーディーアー
外語:iVDR: Information Versatile Disk for Removable usage

 iVDRコンソーシアムにより策定されたリムーバブルハードディスクの標準規格で、カートリッジ式のディスクドライブ
目次

概要
 Information Versatile Disk for Removable usageという名前は直訳すると「携帯用情報多目的ディスク」で、名前にも表現されるようにコンピューター用途だけではなく、家電用としての利用も想定した、多目的なリムーバブルディスクである。
 中身がハードディスクドライブであるため、Blu-ray DiscDVDなどの光ディスクと比較して、高速で大容量を低価格で実現できるという利点があることから、日本でも僅かに採用メーカーが現われてはいるが、まだ普及しているとは言い難い。
 しかし日立マクセルによると、発売から約5年半、2012(平成24)年に累計出荷100万巻を突破したという。
 誰が買ってどこで使っているのか全く不明であるが、日立マクセルの発表から判断するところによると、iVDRの数え方は「巻」であるらしい。

特徴

採用例
 日本では、日立ハイビジョンテレビ「Wooo」シリーズがiV(アイヴィ)と名付けて採用しており、子会社の日立マクセルがiVDR媒体や、「iVレコーダー」などを製造している。
 なお、日立は媒体の差し込み口を「iVポケット」と呼んでいる。

中身
 標準サイズは、2.5インチHDDを丸ごとケースで包んだものである。より小型のものも、小型のHDDを丸ごとケースで包んでいるに過ぎない。
 インターフェイスさえ規格に準拠していれば実際の中身は何でも良いので、いずれはSSDを採用したものが登場する可能性もある。

サイズ
 4種類の規格が存在し、それぞれカートリッジの大きさが違う。以下、大きい順。[]は、中のドライブのサイズ。
 「iVDR EX」は当初「iVDR Xtreme」として登場し、2009(平成21)年8月6日付で現在の名称に変更された。
 microサイズは殆ど普及していない。

製品種類
 各サイズに、SAFIAを搭載しないiVDRと、SAFIAを搭載したiVDR-S(iVDR-Secure)が存在するため、全部で8種類あるといえる。
 日立のiVポケット搭載機は標準サイズとMiniサイズに対応しており、この二種類が一般に普及している。

SAFIA
 iVDR用のコンテンツ保護技術がSAFIAである。これにより、利権団体がうるさい日本でも、記録媒体をリムーバブルハードディスク化することが可能となった。
 iVDRにはフルハイビジョン映像をそのままの画像で録画可能で、ムーブやダビング10にも対応する。
 しかもDVDやBDなどへの録画と同様、他の機器に繋げば中のコンテンツが再生できる。従来のディジタル録画機器は、接続して利用される増設ハードディスク内のコンテンツはプロテクトが掛かっていて他の機器では再生できないが、iVはこの不便が取り除かれたものと言える。
 SAFIAを搭載したものはiVDR-S(iVDR-Secure)という。日本では、基本的に映像用途以外では殆ど使われていないことから、iVDR-SでないiVDRは、殆ど流通していないと思われる。

耐衝撃性
 3サイズ、いずれも落下に耐える耐衝撃性を備え、900G以上を確保する。
 中身はハードディスクドライブだが、ケースは衝撃緩衝フレームを採用し、落下時などの耐衝撃性を向上しているとされる。決して故障しないというわけではないが、民生機用の製品として、一定の耐衝撃性を持たせていると見ることができる。
 但し、小型HDDの媒体はガラス製が主なので、想定を越える衝撃を加えるとディスクは粉々に粉砕し、録画した映像は二度と復元できなくなるので注意が必要である。

容量
 2007(平成19)年当初は、40Gバイトと80Gバイトの製品があったが、2008(平成20)年4月に120Gバイトと250GBの製品が、2009(平成21)年5月25日には160Gバイトと320Gバイトが追加された。2010(平成22)年には500Gバイトのモデルが追加されている。
 2011(平成23)年現在、日立の現行製品は、160/320Gバイトモデルと、500Gバイトモデルである。
 500Gバイトの場合、画質そのままなら約50時間、長時間録画モードの一つハイビジョン8倍録画(TSX8モード)で最大約400時間録画できる。
 iVDRとは直接無関係ではあるが参考までに日本におけるデジタル放送の録画モードは、放送波をそのまま記録するTSモードの他に、TSEモード(約10Mbps)、TSX4モード(約5Mbps)、TSX8モード(約2.5Mbps)、TSX24モード(約0.6Mbps)があり、後ほど画質が落ちる代わりに長時間録画となる。

技術面

インターフェイス
 接続にはシリアルATAが使われる。当初は従来のパラレルATAで設計されていたため、これもiVDR parallelとして規格化されることとなった。
 ディスクには、小型のハードディスクドライブを用いる。小型かつ軽量で、コンピューターからAV機器まで様々な用途に利用できる。ファイルシステムUDFやiVDR認識用ボリュームフォーマットが想定されている。
 パーソナルコンピューターへの接続は、USB 2.0などで接続するPC用アダプターが市販されており、これを使えばPCで録画した番組を見ることもできる。

コネクター
 iVDRとiVDR Miniは、コネクターが統一されている。
 iVDR microは、小型化のために統一仕様が存在しない。

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