地球シミュレータ (初代)
読み:ちきゅうシミュレータ
外語:the earth simulator

 最初の地球シミュレータで、並列ベクトル演算機(スーパーコンピューター)。2002(平成14)年3月11日に運用が開始された。
目次

概要
 気象変化のシミュレートなどを目的に、海洋科学技術センター(JAMSTEC)と日本電気(NEC)が神奈川県横浜市金沢区の海洋科学技術センター横浜研究所内のシミュレータ棟に建設したスーパーコンピューターである。
 2002(平成14)年からの利用開始を目指してプロジェクトが開始され、1998(平成10)年1月にNECが受注した。初代ESは2002(平成14)年3月8日にセンターへの本体納入完了、そして3月11日に運用が開始された。価格は400億円とされる。

仕様

基本情報

ハードウェア

性能
 ESは、NECのSX-5をベースとして開発された。
 実運用で達成した演算性能は35.86TFLOPSで、2002(平成14)年4月18日付けで世界最高速として登録され、当初の予定通り汎用機として世界最高のスペックを実現させた。
 2004(平成16)年11月9日発表のTOP500でIBMのBlue Gene/L、SGIのColumbiaに超されるまで2年以上世界一の演算性能を誇り、この2機種に超されてもなお暫くは世界第三位の演算性能を維持、日本のスパコン開発力を世界に知らしめた。
 日本国内にあるスパコンでは、2006(平成18)年6月のTOP500で東工大のTSUBAMEに抜かれるまで、第一位を維持した。この時点での順位は世界第10位。
 2007(平成19)年現在も、TOP500の世界20位を維持するが、性能比で、電気代等の運用費の負担が大きくなってきた。
 このため、末期には電源が落とされ、運用が止められた。後継機(二台目)の検討は、2007(平成19)年10月頃から開始された。

特徴

構成
 主な特徴として、次のものがある。
 使用されるスーパーコンピューターは5,120台で、スーパーコンピューター同士の接続に使われるケーブルの全長は3000kmに及ぶ。

各ノード
 各計算ノードは8台のベクトルプロセッサー、16Giバイトの共有メモリー、リモート転送制御機構、入出力プロセッサー、磁気ディスクアレイから構成される。
 1つのベクトルプロセッサーのピーク性能は8GFLOPSで、システム全体では最大性能が40TFLOPS、主記憶容量が10Tiバイトとなる。

プロセッサー
 プロセッサーは0.15μmルールの銅配線プロセスで製造され、約6000万トランジスタが集積された。

OS環境
 OSには、NEC製のベクトルスパコンSXシリーズ用に開発されたUNIXベースのOS「SUPER-UX」を、超大規模システム向けに強化・拡張したものを使用。
 プログラム開発環境とし、自動ベクトル化・自動並列化を行なうFortran 90、C/C++コンパイラーなどが利用できる。

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