BCD
読み:ビースィーディー
外語:BCD: Binary Coded Decimal
電子計算機における数値の表現方法の一つ。「2進化10進数」。
概要
10進数の1桁を、2進数の4桁または8桁(16進数の1桁または2桁)に対応させて値を格納する。
この方式で必要な桁数を用意して演算させれば、10進数演算で誤差が出ないという点で優れており、COBOLなどでもよく使われた。
特徴
方法
具体的な格納方法には大きく二通り「アンパック型(ゾーン型)」「パック型」がある。
アンパック型は10進数の1桁を1バイトに対応させるもので、COBOLで通常使われるのはこの方式である。実際の数値は下位4ビット程度を利用し、残りの上位ビットは普段は1111などとしておいて、必要に応じて負数(たとえば最上位バイトを1101とする)を表わす情報に利用する。この仕様がやがて、文字コードのEBCDICへと進化した。
パック型は10進数の1桁を2進数の4桁に対応させるもので、COBOL風の呼び方で「パック化された」数値(PACKED-DECIMAL)と表現する。10進数一桁が、そのまま16進数の1桁に相当するように置き換えられる。メモリー効率はパック化されていない場合の倍程度にはなるが、演算処理が若干遅くなるという弱点もある。
CPU命令
Z80などでは、CPU自体がBCDの計算に対応していた。
BCD同士の加算・減算は、ADD/ADC、SUB/SBC命令を用い、その後DAA命令を実行する。DAA命令は、演算後のC、H、Nフラグを参照し、アキュームレーターの数値をBCDに調整するものである。
具体的には、加算後のDAAは、次の動作をする。
- 加算結果の下位4ビットが0AH以上、またはハーフキャリーフラグが立っていれば、06Hを加算する。
- 更にA0H以上か、1の結果でキャリーフラグが立てば、60Hを加算する。
減算後のDAAは、加算の場合の06Hと60Hの加算が減算になる。
直前の命令が加算か減算かはNフラグ(減算フラグ)が参照される。Nは、減算を行なうと立つ。
対応表
10進数と、パック型BCD対応例を以下に示す。
10進数 | BCD(2進) | BCD(16進) |
1 | 0001 | 0x1 |
12 | 0001 0010 | 0x12 |
123 | 0001 0010 0011 | 0x123 |
1234 | 0001 0010 0011 0100 | 0x1234 |
12345 | 0001 0010 0011 0100 0101 | 0x12345 |
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