Anthy
読み:アンシー
外語:Anthy

 UNIX用のフリーな日本語入力システムの一つで、変換システム部を提供するもの。
目次

概要

由来
 プロジェクトの開発の一部は、(当時の)情報処理振興事業協会(IPA)未踏ソフトウェア創造事業(2002(平成14)年度)の資金的助成を受けた開発者によって開発された。現在Anthyは、LGPLでライセンスされている。
 このAnthyは漢字変換エンジンであり、入力を受け持つ処理は別に要する。標準でEmacs Lisp版のユーティリティが付属するが、他にも対応するモジュールがいくつか作られている。
 Anthyの名前の由来は、アニメ作品少女革命ウテナの副主人公である姫宮アンシーとされる。

UNIXと日本語
 古くからUNIX界隈でも、日本語を使うための試みが行なわれてきた。
 UNIXのユーザーが増え、同時に日本人のUNIXユーザーが増えるにつれ、実用的な日本語入力システムが強く求められるようになってきた。
 FreeBSDでは、古くはkinput2(kinput2-cannaやkinput2-Wnn)の組み合わせがあったが、お世辞にも実用的とは言えないものだった。こうして登場したのがAnthyであり、近年は「uim-anthy」や「scim-anthy」の組み合わせが広く使われるようになった。
 これにより、WindowsでMicrosoft IMEを使う場合と大差ない(あるいはそれ以上に快適な)日本語入力環境が、UNIXでも実現されたのである。

特徴

モジュール
 近年は、scim+Anthyとして使われることが多い。

C/Sではない
 jservercannaserverなど、UNIX用の日本語入力システムはクライアントサーバーモデルを採用する例が多い。
 しかし、Anthyはクライアントサーバーではなく、プロセス間通信パイプを採用した。このため、非常にセキュアである、としている。

人気
 これを著している現在、ここ最近のLinuxディストリビューションやFreeBSDではscim-anthy(scim+Anthy)を採用する例が多い。
 これまでCannaを使っていた人たちも、続々scim-anthyに移行をしているらしい。

利用方法

インストール
 scimとAnthyは別のプログラムだが、組み合わせて使うのであれば、両方インストールする必要がある。ということで、FreeBSDでは「scim-anthy」というportsが用意されている。
 これを著している時点で、2006(平成18)年のscim-anthy-1.2.7が最新であり、IMエンジンであるAnthyのバージョンは2009(平成21)年2月9日付の9100hが最新である。
 FreeBSDにインストールするためには、portsを使うのがもっとも簡単である。http://www.freebsd.org/cgi/cvsweb.cgi/ports/japanese/scim-anthy/から最新のportsのtarballをダウンロードして展開、これをportsのディレクトリに移動する。以下、/home/example/tmp以下に展開したものとして説明する。
 > su
 $ mv /home/example/tmp/scim-anthy /usr/ports/japanese/scim-anthy1-2-7
 $ cd /usr/ports/japanese/scim-anthy1-2-7
 $ make config-recursive
 $ make install clean
 CD-ROMないしDVD-ROMからインストールした場合は、古いものがportsディレクトリ以下にあるかもしれないが、新しいportsでmake installすれば新しいものに置き換わる。

インストール後の設定
 インストールが終わったら、scimとAnthyが動作するようにOSの設定を変更する。
 シェルがtcshであれば、$HOME/.xinitrcに、次のよう追記する(無ければ新規に作成する)。
 setenv XMODIFIERS @im=SCIM; setenv LANG ja_JP.eucJP
 scim -d
 これは普段使うユーザーとして設定する必要があるので、rootでの設定もさることながら、一般ユーザーでの設定もしておく。
 また、この設定は/usr/local/bin/gnome-sessionなどウィンドウマネージャを起動する記述よりも前に追記しなければならない。

動作の確認
 Xを起動し、端末を開く。ここでscimを起動する。標準では開始/終了のキー(ホットキー)はCtrl+Spaceとなっていると思われる。
 動作中は画面の右下に小さなダイアログが現われ、この状態で文字を入力すれば、漢字変換が可能である。
 またこの小さなダイアログから設定画面を呼び出し、scimを起動するホットキーの変更や、Anthyのローマ字の変更などもできる。

入力方式
 Anthyは様々な入力方法に対応している。
 それぞれの変換テーブルはカスタマイズ可能で、かなり自由度の高い設定が可能。
 但し標準ではAZIKの変換テーブルはバグ(欠損)があり、少なくとも次を入れないと実用的でない。

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