Y染色体アダム
読み:わいせんしょくたい-あだむ
外語:Y-chromosomal Adam

 Y染色体から導かれる、ヒト共通の男系祖先と考えられる人物のこと。
目次

概要
 ゲノム中にある性染色体の一つY染色体は、男性にしかない。女性のXXだが、男性はXYである。つまりY染色体を持った精子受精できれば子供は男性になるわけであり、こうしてY染色体は男性から男性(息子)へと代々伝えられてゆく。
 Y染色体は比較的突然変異を起こしやすい染色体であり、末代まで同じY染色体を伝えるというのは難しいと考えられるものの、しかし理論上はこのDNAを元に父親の先祖に辿って行くことが可能で、やがて20〜30万年前のアフリカの男性に辿り着く。この年代は、ミトコンドリアイブとも概ね共通している。そこでこの男性がY染色体アダムであり、この仮説をY染色体アダム仮説という。

特徴
 Y染色体アダム説は、現存するY染色体から遡れるのが20〜30万年前までであり、それ以外の当時生きた男性は、現在に男系子孫を残していないということである。従ってそれ以前にY染色体が存在せずこの時にY染色体が作られた、という意味ではない。ただ現存人類の共通の父親は、この時代で一人に収斂されることは事実である。
 Y染色体アダムとミトコンドリアイブは約1万年のスパンでほぼ同時期を生きたと考えられており、両者の年代は大雑把に言えば、一致している。ここから鑑みるに、やはりヒトはアフリカで生まれ、その子孫たちがアフリカから脱出し世界に拡散したと考えられている。
 更に遡ると、人類X染色体Y染色体は3億年ほど前に一対の常染色体から進化(分化)したことも明らかとなっている。

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