SARS-CoV-2 系統 B.1.617
読み:さーず-ころなういるす-つー-けいとう-びー-いち-ろっぴゃくじゅうなな
外語:SARS-CoV-2 lineage B.1.617
SARS-CoV-2
(
武漢肺炎ウイルス感染症
の
病原体
)のうち、インドで最初に発見された変異株のうち代表的な系統。
目次
概要
情報
変異
L452R
K417N
E484K
概要
これを著している時点で、3種類のサブグループに分けられており、またそれぞれに多数の変異株が見つかっている。
B.1.617.1
(WHO名
カッパ(κ)株
)
B.1.617.2
(WHO名
デルタ(δ)株
)
B.1.617.2.1 (俗称
デルタ・プラス
)
B.1.617.3
1と2は感染が広がったが、3は発見後は殆ど確認されておらず、感染・伝搬性が低かったとみられる。
情報
変異
変異とサブグループの対応は次の通りである。
B.1.617.1
B.1.617.2
B.1.617.3
G142D変異
+
+
-
L452R変異
+
+
+
E484Q変異
+
-
+
P681R変異
+
+
+
3種類の各系統の、それぞれのスパイク蛋白質の主な変異(60%以上の配列に見られる変異)は次の通りである。
B.1.617.1
G142D
E154K
L452R
E484Q
D614G
P681R
Q1071H
B.1.617.2
T19R
G142D
del157/158
L452R
T478K
D614G
P681R
D950N
B.1.617.3
T19R
L452R
E484Q
D614G
P681R
D950N
インドでは当初は
B.1.1.7
(WHO名 アルファ株)とB.1.617.1(WHO名 カッパ株)が流行していたが、2021(令和3)年4月頃からこのB.1.617.2が増加している。
L452R
L452Rはインド型変異株に特徴的に見られる変異である。
L452Rの名称は、ウイルスが細胞に侵入する際に使う「スパイク蛋白質」を構成しているアミノ酸配列の452番目が、元々のL(ロイシン)からR(アルギニン)に置換されたことを表わす(以下同)。
それまで流行していたB.1.1.7(イギリス型変異株)と比して感染力が強まり、更にワクチンの効果を弱める可能性も指摘されている。
K417N
インド型変異株のうち
系統 B.1.617.2
(WHO名デルタ株)に生じた新たな変異がK417N変異である。系統 B.1.617.2.1 と呼ばれる。
これは、スパイク蛋白質417番目のアミノ酸がK(リシン)からN(アスパラギン)に置換されたものである。WHOは、これをデルタ・プラスなどと呼んでいる。
E484K
E484Kは、B.1.316(カナダ系統株)、B.1.1.4(イギリス系統株)などで確認されている変異で、「免疫逃避型変異」などとされており、中和抗体の効果を減弱する可能性が懸念されている。
インド型変異株はL452R変異が感染力を強め免疫を回避することが特徴となっていたが、2021(令和3)年7月、インド型変異株でL452R変異に加えてこのE484K変異を持った変異株が確認されたと発表されている。ワクチンの効果を更に弱める可能性がある。
再検索