LE-8
読み:エルイーエイト
外語:LE-8

 JAXAとIHIが共同開発した、液化天然ガス(LNG)を燃料に用いる、国産の液体燃料ロケットエンジン。
目次

概要
 燃料として液化天然ガス(LNG)、酸化剤として液体酸素(LOX)を用いることを特徴とする。
 LNGは都市ガスの主成分でもあり安価だが、液体水素にも迫る性能を持つ。
 都市ガスの主成分はメタンなので、精製すれば液体メタンとでき、これ自体は高性能な燃料である。しかし、価格が上がる。未精製の液化天然ガスを燃料に用いるのは、価格面で優れている。
 GXロケットの第二段エンジン用として開発されていた。GXロケットやLE-8の開発が中止となってからも研究が続けられ、現在、JAXAは優秀なLNGエンジンを保有するに至った。

仕様

特徴

開発状況
 打ち上げ時の想定時間500秒(578cBeat)を超える連続燃焼試験に成功したほか、エンジンの耐久性を保証する指標である打ち上げ時想定時間の4倍の総作動時間も達成した。
 エンジン自体の完成度は高まったものの、LE-8と並行開発されていたGXロケットは実用化が遅れ、次々と仕様変更が発生した結果、最終的には実用化に至らぬまま、LE-8と共に開発は終了された。

燃料
 LNG(メタン)では、最も理想的なものが完成したとしてもLE-5Bの代替ないし後継として使えるほどの比推力確保が難しいことは分かっている。
 しかし、「推進剤が安い」ことと、液体水素などと比して体積が少なく済み、また沸点も高いことから扱いやすく、結果としてロケットを小さくできるというメリットがあった。
 またケロシンを使うロケットと比べても、燃焼振動が起きにくい、(同じガス発生式サイクルで比べれば)比推力が高い、といったメリットもある。
 日本は、ケロシン系ロケットの技術については蓄積が薄いが、GXロケットでは、1段目にケロシン、2段目にLE-8を採用する計画だった。

アブレーター冷却式
 LE-8は、ブーストポンプ・アブレーター冷却式として完成されている。
 まず、燃料が燃える場所、要するに燃焼室およびノズルは、高熱を持つ。乗用車のエンジンと同様で、溶解させないためには何らかの方法で冷却しなければならない。
 様々な方法があり、ターボポンプを使っているなら燃料の流路を燃焼室の側面に作って流れる燃料に熱を奪わせる方法で冷却をするのが一般的だが、LE-8はターボポンプを使用していないため、吸熱性の断熱素材アブレーターで覆うことになった。
 低い燃焼室圧力、アブレーターなどはエンジンの性能を下げる要因である。少しでも比推力を稼ぐためにタンクなどでの軽量化が図られている。
 GXロケット二段目では、最終的にターボポンプが導入されるが、アブレーターはそのまま採用された。

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