Gekko
読み:ゲッコー
外語:Gekko

 任天堂のゲーム専用機、ニンテンドーゲームキューブのCPU。
 ちなみにGekkoとは「月光」の意であるらしい。
目次

概要
 IBM製PowerPC 750CXeベースのプロセッサーで、485MHz駆動/0.18μm/CMOS6層銅配線によるカスタムチップである。
 駆動電圧は1.8Vで、性能は1,125DMIPS(Dhrystone 2.1)。
 パッケージは27×27mm PBGA(256ピン)である。消費電力4.9W(通常時)。

特徴
項目特徴
マイクロアーキテクチャーPowerPC 750CXe
コアのクロック周波数 
FSBクロック485MHz
最大バス帯域幅5.2Gバイト/秒(ピーク時)
1次命令キャッシュ 
1次データキャッシュ 
2次キャッシュ256Kiバイト
製造プロセスルール180nm
ダイサイズ43mm2
集積トランジスタ数2,250万個(CPUコアが650万、2次キャッシュ1,600万)
 ゲームに特化した効率的な改良が施されているが、例えばPowerPC 750CXeはダイサイズ42.7mm2、トランジスタ数は約2,000万個で、Gekkoと殆ど変わらない。
 ダイはあまり増やさずにゲームで最大限のパワーが出せるような改良が施されたPowerPCがGekkoであるといえる。

機能
 PowerPC 750CXeに対しゲームに必要な機能を追加したものだが、CPUとしての基本的な構成は変わっていない。
 CPUレジスターは同じで、命令発行も3命令(2命令同時発行+1ブランチ命令)のままである。変更点は、大きく3つある。
  1. ロードストアユニットで、グラフィックスデータの圧縮/伸張を可能にする。
  2. データ転送機能を効率化するユニットの搭載。
  3. 単精度浮動小数点演算装置の搭載。
 またこれらとは別に、2次キャッシュが256Kiバイトに拡張されている。

バス
 Gekkoはニンテンドーゲームキューブの核であるFlipperに、64ビット、1.3Gバイト/秒のバスで直結されている。
 但し上述のグラフィックスデータの圧縮機能により、実効バス帯域はピーク時で5.2Gバイト/秒となる。

データ転送機能
 特徴の一つであるデータ転送機能は、Write Gather Pipe(WGP)と呼ばれる。
 128バイトのFIFOで構成され、32バイトづつFlipperへバースト転送するものである。
 この機能はCPU内のキャッシュをバイパスしバスインターフェイスに直結されているため、キャッシュの必要がないグラフィックスデータの転送効率の向上とキャッシュの効率向上に貢献している。

浮動小数点演算装置
 浮動小数点演算装置の改良で、1個の倍精度演算器で2個の単精度演算を実行可能としている。このためゲームで使われる単精度浮動小数点演算は、PowerPC 750に対しクロック当たり2倍の性能になったといえる。

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