銀河ハロー
読み:ぎんがハロー
外語:galactic halo
銀河周辺を球状に取り巻く、希薄な物質が存在する領域。
概要
銀河系のような渦巻銀河は、銀河バルジ(中心核)とディスク(銀河円盤)が主要な構造であるが、実際はそれだけではなく、それらを球状に取り囲むように球状星団や希薄な星間物質が存在することが観測によって判明しており、この領域をハローという。
ハローにある天体はさほど多くはないが、ここにある天体はハロー星と呼ばれる。ここには直接観測が難しい、いわゆる暗黒物質(ダークマター)が分布していることが、天体の運動の様子から推測されている。
銀河系
範囲
銀河系のディスクは直径10万光年であるが、その外側に広くハローが存在する。
ハローの内側にはハロー星と呼ばれる天体などがあり、その外側には電離したガス、さらに外側には暗黒物質などが直径60万光年から90万光年程度まで球状に分布するとしている。ここから、銀河系の質量の大半はハローに存在することになる。
また、銀河系の伴銀河に大マゼラン雲(距離16万光年)などがあるが、これらは銀河系のハローの中にあるということになる。
二層
2007(平成19)年、国際研究チームの研究によると、銀河系ハローは2層の恒星系構造から成ることが判明したという。
この観測により、銀河系のハローは少なくとも二層(内側のハローと外側のハロー)に明確に分けることが可能と判明している。
内側のハローは楕円形であり、長軸は半径5万光年から7万光年程度、短軸は半径3万光年から5万光年程度で、銀河系円盤と同じ方向でゆっくりと公転している。
外側のハローは銀河系円盤とは逆方向に公転しており、またここにある天体は、内側のハローにある天体よりも金属含有率が低いという。
この特性から、少なくとも内側と外側は、全く異なった由来であると考えられる。銀河系は、小さな銀河が複数合体したり、潮汐力で破壊したりしながら作られたと考えられている。ハローの内側と外側とでは形成過程に大きな差違があったことが示唆され、これは銀河系の形成を知る上で重要と考えられている。
90万光年
2014(平成26)年、約90万光年の距離に赤色巨星が発見された。
報道ではこれまで銀河中心から40万光年以上の距離にあるハロー内の恒星は7個しか発見されていなかったが、新たに二つが追加されたという。
- ULAS J0744+25 (約77万5000光年)
- ULAS J0015+01 (約90万光年)
大規模な隣接の銀河であるアンドロメダ銀河(M31)までの距離(約230万光年)までの1/3以上となる。
運動速度や距離などから、かつて銀河系と衝突して吸収された小さな銀河の残骸の可能性があるとしており、今後さらに捜索することで銀河系の形成モデルが検証できるとしている。
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