脳梁
読み:のうりょう
外語:Corpus callosum

 左右の大脳半球を結ぶ神経繊維束(交連繊維)のうちの最大のもの。この神経系によって、右脳左脳の交信の大部分を実現している。
目次

特徴
 脳梁は、系統発生学的には新しいもので、特にヒトで著しく発達しており、左右の大脳皮質の大部分はこの脳梁によって連結されている。
 脳梁は脳における男女の性差が特に顕著な部位で、女性の脳は男性よりも脳梁が太く、左右の連絡が良い。そのため、女性は脳全体を使ってバランスの取れた能力を出すことができる、と考えられている。
 しかし、受精後7週〜20週程度までと、比較的長い時期に徐々に作られるため、部分欠損や完全欠損などの欠損を起こしやすいとされる。

機能
 機能についてはまだ研究段階といえるが、脳梁は前側が知的機能に関するもの、後ろが小脳関係、真ん中が意識などに関する伝達をしていると考えられており、欠損すればそれぞれの機能が失われる。
 例えば、脳梁が損傷を受け左右の連絡が無くなると、右手と左手の動きが一致しなくなるエイリアンハンド症候群を発症することが知られる。
 脳梁を完全に切断すると、左手失書、片側失行、拮抗失行などの症状が観察される。

脳梁の欠損
 大脳は基本的に左右で独立して機能出来るよう作られおり、脳梁が切断されても生命には別条は無いと考えられる。
 産まれ付き脳梁の一部または全部が無い、脳梁欠損症や脳梁形成不全という先天性の病気もあるが、このような小児は脳梁欠損だけでなく他の合併症も罹患していることが多く、重度の畸形や合併症がある場合には長期の生存は難しい。

脳梁離断術
 小児の難治性の癲癇(てんかん)の治療法の一つとして、この脳梁を切断する脳梁離断術というものがある。
 脳梁を完全に切断することで左右大脳半球での癲癇波の共鳴が減り、または無くなり、もって転倒発作には劇的な効果が見られるとされる。
 但し、この療法は癲癇波の伝播を遮断するだけのもので、癲癇の病巣が無くなるわけではない。従って全身痙攣はそのまま残るが、発作の強さや持続時間はかなり改善する。

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