メートル原器
読み:メートルげんき

 長さの単位メートルの基準となっていた器具のこと。
目次

概要
 それまでは各国でばらばらだった長さの単位だが、メートルによって世界で標準化することに成功した。
 かつては原器が長さの基準であり、メートル法ではメートル原器の「線と線の間」が1mであると定義されていた。

特徴

材質と形状
 1875(明治8)年にメートル条約が締結されてから、経年劣化などが小さい合金の研究がなされた。
 結果、1888(明治21)年に白金90%、イリジウム10%の合金による原器が作られた。国際メートル原器」と同時に作られた原器は30本あり、これが世界各国に配布された。
 形状は曲げに強い「X」型をしており、より具体的には双魚宮の占星術記号「〓」に似た形をした長細いものである。
 メートル原器は長さそのものが基準ではなく、ここに0℃で1mの長さを示す目盛線が引かれており、その「間」が1mとなる。線の太さなどもあり、精度には限界がある。
 やがて精度の問題を解消するためメートルは光の波長が基準となり、この原器は標準制定という意味では退役となっている。

配布
 そのうちの一つ「日本メートル原器」は中央度量衡器検定所(現・独立行政法人産業技術総合研究所)にて保管・管理されている。
 また、最初の30本の原器とは異なる地金でもメートル原器は製作されており、これも希望国に配布された。現在、日本は次を保有している(番号のcは地金の区別のために付けられた記号)。
 更に、副原器(No.14c)を切断して、次の4本の原器が作られた。
 日本の原器は、関東大震災の時にはフランスにあり難を逃れ、大東亜戦争による東京空襲は茨城県への疎開で難を逃れた、貴重な学術的遺産である。
 なお、展示用の複製品は国立科学博物館などにあり、一般人でも見ることができる。
 

重要文化財指定
 2012(平成24)年4月20日に開催された文化審議会で、日本が保有するメートル原器や関連原器がを重要文化財に指定する旨、文部科学大臣に答申された。
 重要文化財として本指定されたもの(附=つけたり を除く)は、以下の通りである。

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