アヌレン
読み:アヌレン
外語:Annulene
共役二重結合
を持つ環状化合物の総称。
目次
概要
特徴
ヒュッケル則
芳香族性
反芳香族性
概要
Annuleneと綴るが、日本化学会の化合物命名法委員会による日本語名はアンヌレンではなく「アヌレン」である。
IUPAC命名法
では、環を構成する炭素数をCとすると「[C]アヌレン」と呼ぶ。
特徴
ヒュッケル則
ヒュッケル則により、π電子の数が「4n+2」(nは整数)のアヌレンは芳香族性を有し、「4n」(nは整数)のアヌレンは芳香族性を有さないとされている。観測により、n=1〜6程度まではヒュッケル則を概ね満たすものと見込まれている。
つまりアヌレンの中で、「[4n+2]アヌレン」は芳香族性を示すが、「[4n]アヌレン」は反芳香族性を示すということになる。
なお、n=1で、4n+2=6となる
芳香族
の代表は
ベンゼン
であるが、ベンゼンはアヌレンではない。実際に炭素6となる[6]アヌレンは「シクロヘキサトリエン」というが、これは例外的にヒュッケル則を満たさず、芳香族性を示さない。
芳香族性
炭素数が4で割り切れない[4n+2]アヌレンで、芳香族性を示し規則を満たすものに、次がある。以下すべてIUPAC命名法である(CAS命名法では名前が異なる)。
n=2(C=10) シクロデカペンタエン ([10]アヌレン)
n=3(C=14) シクロテトラデカヘプタエン ([14]アヌレン)
n=4(C=18) シクロオクタデカノナエン ([18]アヌレン)
これ以上は、
sp2軌道
でsp2炭素の結合角が120°を超えることができないという立体的な制約により、安定できない。
また、n=1つまりシクロヘキサトリエン([6]アヌレン)は不安定であり規則を満たさない。
反芳香族性
炭素数が4で割り切れる[4n]アヌレンは、そもそも平面構造ではなく、共鳴安定化することができず不安定となり、反芳香族性を示す。規則を満たすものに、次がある。
n=1(C=4) シクロブタジエン ([4]アヌレン)
n=2(C=8) シクロオクタテトラエン ([8]アヌレン)
n=3(C=12) シクロドデカヘキサエン ([12]アヌレン)
n=4(C=16) シクロヘキサデカオクタエン ([16]アヌレン)
n=5(C=20) シクロイコサデカエン ([20]アヌレン)
n=6(C=24) シクロテトラコサドデカエン ([24]アヌレン)
n=7(C=28) シクロオクタコサテトラデカエン ([28]アヌレン)
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